福祉用具専門相談員のスキルアップ的な資格として位置付けられている福祉用具プランナー≠ナすが、その知名度はあまり高くありません。
そこで、福祉用具プランナーとは、いったいどんな資格なのか・・・まずはそのあたりの基礎知識を押さえ、それを踏まえた上で、この資格が自分にとって本当に役立つ資格なのかどうかを見極めることが大切です。
福祉用具プランナーとは、平成9年にスタートした民間資格のひとつで、財団法人テクノエイド協会が主体となって実施しています。
この資格取得者に求められる社会的役割とは、福祉用具に関する豊富な知識と技術を身に付けたスペシャリストが専門的な見地から、福祉用具の利用を考えている(使っている)方に様々な情報を提供することで、少しでも快適な日常生活が送れるようサポートすることにあります。
福祉用具購入の際の選定方法に関する助言 福祉用具プランの作成 各種福祉用具の使い方に関する指導 福祉用具全般に関する苦情&相談窓口 福祉用具適応後のモニター評価 …etc |
具体的な業務内容については、上記のようなものが中心になってくるかと思われますが、単にアドバイスするだけでなく、福祉用具利用者の障害程度に合わせたキメ細かな対応が求められます。
福祉用具プランナーの資格を取得するには、(財)テクノエイド協会が主催する所定の研修を受講しなければなりませんが、協会主催の研修は誰でも自由に受けられるわけではありません。
つまり、下記に示す受講資格に当てはまらない者は研修を受ける資格がないということです。
1.以下のいずれかの条件を満たし、現在も福祉用具専門相談員として2年以上その業務に従事している者 @「指定居宅サービス等の人員、設備運営に関する基準」(平成11.3.31厚令三七)第194条に定める、厚生労働大臣が指定した講習会の課程を修了した者若しくは都道府県知事がこれと同程度以上の講習を受けたと認める者 A 指定福祉用具貸与又は販売にあたる福祉用具専門相談員として、その業務に従事している下記の者 保健師 / 看護師 / 准看護師 / 理学療法士 / 作業療法士 / 社会福祉士 / 介護福祉士 / 義肢装具士 2.その他福祉用具関連業務に2年以上従事している下記の者 介護支援専門員 / 建築士 3.上記1及び2のほか福祉用具関連業務に2年以上従事し、特に研修受講の有効性を認められる者 |
なお、いずれの場合もパソコンを使用したeラーニングによる履修があるため、パソコン操作ができることが大前提です。
また、福祉用具プランナーの研修内容は大きく2つ(eラーニング研修/集合研修)に分かれますが、eラーニング研修は、パソコンを使った座学となるため、自宅(あるいは職場など)にパソコンがあり、かつ、インターネットに接続できる環境にあることも必要です。
パソコンを所持(自宅や職場など)し、インターネット接続できる環境がある パソコン操作が出来る 受講者個人の専用メールアドレスを持っている |
福祉用具プランナーは、福祉用具専門相談員のスキルアップ的な要素をもった資格であることから、福祉用具に関する、より専門的な知識や技術を習得するためのカリキュラムが用意されており、研修時間も大幅に増えています。
先にも説明したとおり、研修内容は大きく2つ @ eラーニング研修と A 集合研修とに分かれますが、各研修科目の詳細と履修時間については下記のとおりです。
協会内に設置された専用サーバーにアクセスし、座学を受ける。 |
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科目 | 履修時間 |
福祉用具専門職の役割 | 1.5h |
福祉用具概論 | 1.5h |
福祉用具の情報提供・相談技術 | 1.5h |
相談援助のためのプランニングの理解 | 1.5h |
相談援助のためのプランニングの実際 | 1.5h |
介護保険におけるケアマネジメント | 1.5h |
対人援助技術 | 1.5h |
職業倫理 | 1.5h |
認知症の理解 | 1.5h |
福祉用具供給の業務 | 3.0h |
福祉用具供給に係る法律関係 | 1.5h |
介護保険制度と福祉用具 | 1.5h |
福祉用具供給のリスクマネジメント | 1.5h |
高齢者の身体特性 | 1.5h |
ADLの理解と基本の動作 | 1.5h |
起居関連用具 | 1.5h |
移乗関連用具 | 1.5h |
移動関連用具(車いす/杖・歩行器) | 3.0h |
床ずれ防止関連用具 | 1.5h |
入浴関連用具 | 1.5h |
排泄関連用具 | 1.5h |
食事・更衣・整容関連用具 | 1.5h |
社会参加関連用具(自助具含む) | 1.5h |
コミュニケーション関連用具 | 1.5h |
住宅改造総論 | 7.5h |
構造とメンテナンス | 1.5h |
合計 | 48.0h |
指定された場所に集まり、実技と演習を中心としたカリキュラムをこなす。 |
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科目 | 履修時間 | |
最新情報 | 講義 | 1.5h |
相談援助のためのプランニングの実際 | 演習 | 1.5h |
相談援助のためのプランニングの演習 | 演習 | 9.0h |
対人援助技術 | 演習 | 3.0h |
職業倫理 | 演習 | 1.5h |
高齢者の身体特性 | 演習 | 1.5h |
ADLの理解と基本の動作 | 実技 | 1.5h |
起居関連用具 | 実技 | 3.0h |
移乗関連用具 | 実技 | 3.0h |
移動関連用具(車いす/杖・歩行器) | 実技 | 3.0h |
床ずれ防止関連用具 | 実技 | 3.0h |
入浴関連用具 | 実技 | 3.0h |
排泄関連用具 | 実技 | 3.0h |
食事・更衣・整容関連用具 社会参加関連用具 コミュニケーション関連用具 |
実技 | 1.5h |
住宅改造各 | 演習 | 9.0h |
構造とメンテナンス | 実技 | 3.0h |
終了試験 | 1.5h | |
合計 | 52.5h |
なお、福祉用具プランナーの研修は、福祉用具専門相談員になるための講習会とは違い、全過程受講後に終了試験が待っています。
福祉用具の扱い方や選定方法のアドバイスを得意とする専門資格という点では、福祉用具プランナーも福祉用具専門相談員も同じですが、後者の福祉用具専門相談員は、介護保険制度制度の導入(2000年〜)により、指定居宅サービスとして福祉用具貸与事業を行う場合は、各事業所に2名以上の専門相談員を配置することが義務付けられています。
そのため、福祉用具専門相談員の有資格者は、一部の業界では、そこそこニーズのある資格といえますが、福祉用具プランナーに関しては、今のところそのような義務はありません。
したがって、この資格が就職や転職、あるいは昇進や昇給(資格手当てなど)に有利に働くということはまずなさそうです。
また、この資格自体の役割や位置付けが中途半端なため、より専門的な福祉用具の知識や技術を身に付け、相談員として人の役に立ちたいというボランティア精神旺盛な方向けの資格なので、そのような向上心がないのであれば、他の福祉系資格を目指した方が無難かもしれません。
介護を必要とする高齢者や障害者向けの福祉用具の販売やレンタルをする際、病状や障害の程度を見極め、その人に最適な介護用品の選び方を助言したり、使い方の指導など、福祉用具に関するアドバイスが行えるスペシャリストが福祉用具専門相談員≠ナす。
2000年にスタートした介護保険制度の導入により、指定居宅サービスとして福祉用具貸与事業を行う場合は、各事業所に2名以上の福祉用具専門相談員を配置することが義務付けられています。
資格自体は、厚労省指定の講習会を受講(福祉用具プランナーのような受講資格は特にない)すればよく、試験もないため、取得自体は難しくありません。
なお、講習カリキュラムは見直され、平成27年4月以降は40→50時間に増えました。
福祉用具と福祉用具専門相談員の役割 | 2h |
介護保険制度等に関する基礎知識 | 4h |
高齢者と介護・医療に間する基礎知識 | 16h |
個別の福祉用具に関する知識・技術 | 16h |
福祉用具に係るサービスの仕組みと利用の支援に関する知識 | 7h |
福祉用具の利用の支援に関する総合演習 | 5h |
合計 | 50h |