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介護福祉士実技試験の過去問題top
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介護福祉士は特に介護の現場で、直接、介助を行う機会も多く、利用者の安全はもとより、相手のプライバシー等にも細心の注意を払いながら介助に当たる必要があります。

そのため、単なる筆記試験だけでは、その実力を把握することは難しいため、筆記試験とは別に〝実技試験〟を設けて、介護福祉士に相応しい一定レベルの介助スキルがあるかどうかを判断しています。

介護福祉士実技試験は、例年ほぼ〝5分間以内〟という非常に短い試験時間ではありますが、モデル(要介護者)に危険行為が及ぶと判断された場合は、試験官から試験の中止を言い渡されることもあり侮れません。

※ 試験時間をオーバーしたからといって必ずしも落第するとは限りません(ただし、単に要領が悪いだけであったり、何度もやり直しをしているようなケースは除く)。

実技試験のポイントしたがって、本試験でまごつかないように、過去問題や予想問題をこなしながら、シュミレーションしておくことで、あらゆる場面に対応できる基本的なスキルを身につけておくことは非常に重要な試験対策のひとつです。

そこで、ここでは実際に出題された過去問題を2つほど例に挙げポイントを挙げておくので参考にしてみてください。



第17回:介護福祉士実技試験の過去問題【課題とポイント】

平成17年に行われた第17回介護福祉士実技試験で出題された課題(過去問題)は次の通りです。

過去問題を分析してみると、衣服の着脱に関する介助を含む課題が出された年度の実技試験は合格率が低くなる傾向が見られますが、課題で求められている介助は、いずれも基本的な行為なので焦らないことが大切です。
課題

■■さん(75歳)は左上下肢にマヒがあり、移動や着衣には一部介助が必要です。

今日はデイサービスに参加する日です。居間に座っている■■さんを、台を使って立ち上がらせてください。その際、台には座らせないでください。

次に杖歩行で段差を超え、玄関のイスに座り、上着を着用するまでを介助してください。なお、上着のファスナーは、とめる必要はありません。■■さんは、「はい」または「うなずく」のみです。

【試験時間:5分間以内】
矢印
立位・座位に関する主なポイント
・健側の手をしっかりと台に乗せ、右足で膝立ち状態をつくり、そのつま先を立てる。
・患側の介助を行いながら、膝と腰を支え、前傾姿勢を取らせた後、徐々に立ち上がる。…など
歩行器を利用した歩行介助に関する主なポイント
・歩行器 → 左足(患側)→ 右足(健側)の順に歩行を始める。
・足を一歩一歩踏み出すごとに声を掛ける。
・段差の前では、一旦、立ち止まり、歩行器 → 左足(患側)の介助 → 右 足(健側)の順に超える。…など
着衣に関する主なポイント
・どの上着を着るか?要介護者に選択権を与える。[自己選択]
・着衣は左側(患側)から行う。
・麻痺のない健側の着衣は、自分で行うよう促す。…など
その他の主なポイント
・何かしらの行為(行動)を行う際は、その都つど、必ず声を掛ける。
・要介護者の同意を得る。
・健側の手足を上手く利用する。
・時間配分を考える。…など

第18回:介護福祉士実技試験の過去問題【課題とポイント】

平成18年に行われた第18回介護福祉士実技試験で出題された課題(過去問題)は次の通りです。

車椅子へ移動するまでの介助に関する課題ですが、側臥位・端座位の介助をはじめ、衣服の着脱に関する基本的な介助が中心となっています。
課題

■■さん(80歳)は左片麻痺があり、支えがあれば立つことができますが、歩行はできません。移動や衣服の着脱には一部介助が必要です。

これから散歩に出かける予定です。ベッドで仰臥位になっている■■さんを側臥位から端座位にし、上着を着用させ、車いすへ移動するまでの介助をしてください。

なお、車いすの点検は済んでいます。■■さんは、「はい」または「うなずく」のみです。

【試験時間:5分間以内】
矢印
側臥位・端座位の介助に関する主なポイント
・健側に向くことを伝え、左片麻痺がある患側を下にしない。
・腕を組ませる(左腕を右腕でもってもらう)。
・右膝を立たせ、左膝の下に入れてもらう。
・起き上がる前後には、気分が悪くないかの確認を行う。…など
着衣に関する主なポイント
・着衣は左側(患側)から行う。
・麻痺のない健側の着衣は、自分で行うよう促す。
・着心地が悪くないか等の確認をとる。…など
車椅子への移動に関する主なポイント
・車椅子は健側に置く(ベッドに対して30度が基本)。
・健側の手で車椅子のアーム(手すり)を握ってもらい、健側を軸にして回転させ座らせる。
・座り心地や深くしっかりと座れているかの確認をする。…など
その他の主なポイント
・何かしらの行為(行動)を行う際は、その都つど、必ず声を掛ける。
・要介護者の同意を得る。
・健側の手足を上手く利用する。
・時間配分を考える。…など






介護福祉士:豆知識

介護福祉士とホームヘルパーの違いとは… !?

寝たきり老人や障害者の身の回り(食事、入浴、排泄、着衣・脱衣など)の介助にあたるのが介護福祉士の仕事の一部ですが、これはホームヘルパーにも同様のことが言えます。

つまり、仕事内容という点からみると、介護福祉士もホームヘルパーも、それほど大きな違いは見られないというのが現状のようです。

しかし、あえて介護福祉士とホームヘルパーの明確な違いを挙げるとするならば、それは「資格」と「職場」の違いと言えるかもしれません。

なお、ホームヘルパー2級の資格は廃止されたため、平成25年3月以降は介護職員初任者研修という新しい資格がスタートしています。
介護福祉士
国の法律に基づいて定められた国家資格。信用性の高い国家資格であるため、活動する職場も広く、在宅介護に限らず障害者施設等に勤務しながら働く者も多い。一定のスキルを身につけた介護のプロとして評価することができるため、事業所によっては、待遇面で優遇(正社員登用、資格手当てなど)しているところも見られる。
ホームヘルパー
厚生労働省が認定した各地域に儲けらた団体の講習を受け、終了証明書をもらうことで取れる公的な認定資格。つまり、要請講座を受講すれば取得できる。主に障害者宅を訪問し、日常生活全般の介助にあたる仕事が多い。
コーヒータイム