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夜間対応型訪問介護と訪問介護

夜間対応型訪問介護と訪問介護の違いprogram

現在、介護保険法に基づく介護サービスは24種類にも及びますが、介護保険制度は現場の意見などを汲み取りながら、少しでもより良いサービスになるよう頻繁に改正がなされているため、介護・福祉業界に携わる者であっても、そのサービスのすべてを正確に把握しているとは限りません。

※補足情報:現在、介護保険は制度の見直しが5年毎、報酬の見直しが3年毎に行われてます。

そこで、当サイトでも、図表などを用いながら、各介護サービスの内容や特徴についてまとめていますが、今回は、あまり知られていない夜間対応型訪問介護≠ノスポットを当ててみました。

夜間対応型訪問介護とは、いったいどんな内容の介護サービスなのか・・・!?

近い将来、身内に介護サービスが必要になるかもしれないという方の参考に少しでもなれば幸いです。


夜間対応型訪問介護の基礎知識

夜間対応型訪問介護とは、文字通り夜間(深夜)の時間帯に利用できる訪問介護≠フことですが、実は同サービスが新設される前から、夜間対応の訪問介護(ホームヘルプ)事業者は存在しています。

では、わざわざ法改正(2005年)してまで、夜間対応型訪問介護という介護サービスの種類を新設(施行は2006年)したのはなぜか?ということになりますが、その点については、それぞれのサービス内容を比較すると理解しやすいので、まずは、こちらの表をご覧ください。

夜間対応型訪問介護 訪問介護(ホームヘルプ)
提供時間 夜間帯に限る 特に制限なし
指定・監督 都道府県 市町村
ケアコール端末の有無 必要
※ 状況によっては固定・携帯電話も可!
不要
対象者 基本、施設が建つエリア内に住む住人 施設エリア外に住む住人も利用可

特に注目すべき相違点を4点ほど挙げてみましたが、中でも提供時間の違いは大きく、夜間対応型訪問介護は夜間帯(最低限:22時〜6時)に限られ、日中の時間帯(8時〜18時)のサービス提供は認められていません。

提供時間帯

また、監督先も異なり、市町村に一任されている夜間対応型訪問介護では、そのエリアに住むより身近な地域住民を考慮した柔軟(一定の範囲内において)な対応(サービス提供)ができるという点が、同サービスならでの特徴といえるでしょう。

そのため、自ずとサービス利用対象者も異なってきますが、都道府県ではなく、市町村に裁量権がある夜間対応型訪問介護は、地域密着型サービスのひとつとして位置付けられています。
利用条件(対象者)
夜間対応型訪問介護は、その土地々々の住民にマッチした柔軟な対応が可能な地域密着型サービスなので、原則として、施設(事業所)のある市町村に住む住民が同サービスの対象者となります。

つまり、施設の建つ市町村以外に住む方は、サービスを利用することができないということです。

また、原則として、居宅(主に自宅)で生活する要介護1以上の認定を受けていない方も利用できないため、要支援1〜2に認定されている方は注意が必要です(地域によっては要支援の方が利用できるケースもあるらしいので、担当のホームヘルパーさんなどに相談してみてください)。


チェック施設がある市町村在住の方

チェック要介護(1〜5)認定者(40〜64歳までの方は、要介護状態となった原因が特定疾病(16種類)による場合が対象)

具体的なサービス内容
夜間対応型訪問介護も一般的な訪問介護と同じく、介護福祉士やホームヘルパーなどの介護スタッフが自宅を訪問する居宅サービスとなりますが、夜間対応型訪問介護は、サービス内容が大きく2種類あり「定期巡回」と「随時対応」に分かれます。

サービスの種類

ココがポイント!
現場で働くスタッフの話によると、介護サービスの対象にはなっていないような仕事を押しつけられることも少なくないようで、トラブルになることもあるとか…。スタッフが行う介護サービスの内容は、あくまで要介護者に関わるサポート的な業務(食事介助、排泄介助など)が中心となるため、直接、利用者の援助に該当しないようなサービス(例:利用者以外の家族のための掃除や洗濯、料理、お使い、食器洗い、ペットの世話など)は対象外だということを十分に理解しておくべきです。このような雑用はスタッフにとって大きな負担となります。

定期巡回 夜間帯に定期的に巡回!訪問を受けた利用者は、食事や排泄などの介助や安否確認などのサービスを受けることができる。
臨時対応 緊急時に随時訪問!急に体調が悪くなったり、ベッドや階段から転落するなど、夜間、自分1人では対処しきれず、他人の助けが必要な時に通報するとサービスを受けることができる。

利用料金の目安
1ヵ月あたり、どのくらいの費用が発生するのか?

介護サービス利用者にとっては、その利用料が気になるところですが、原則として利用者負担は1割(一定の所得がある第1号被保険者は、自己負担割合が2割!)なので、目玉が飛び出るほど高額な料金が請求されることはありません。

参考までに、利用料金表を示しておきますが、費用に関しては、地域やサービス提供事業者などによって異なってくるので、金額に関しては、あくまで参考程度にお受け止めください。

また、サービスを受ける事業者がオペレーションセンター※を設置しているかいないかで料金体制が異なってくるということも併せて理解しておきましょう!

※補足情報:センターに蓄積されている利用者データを基に、オペレーターが必要な対処(スタッフの派遣、救急車の手配など)を行ってくれる、利用者とサービス業者の間を取り持つ仲介役のような存在。オペレーションセンターがある場合は、訪問回数に応じて料金が加算されます(随時訪問では、1回訪問につき料金が発生!)。

利用料金イメージ

利用料金表

サービス内容 利用料金
オペレーションセンター設置 基本料金 981円 / 1月
定期巡回 368円 / 1回
随時訪問 1名 560円 / 1回
複数名 754円 / 1回
オペレーションセンターなし 定額(概ね2,500〜3,000円前後 / 1月)

参考:厚労省「介護報酬の算定構造」(平成27年4月1日現在)


夜間対応型訪問介護サービスのメリット&デメリット

他の介護サービスにも言えることですが、夜間対応型訪問介護にもメリットがあれば、当然、デメリットもあります。

そこで、夜間対応型訪問介護には、どんなメリットやデメリットがあるのか、ザッと表にまとめておくので、サービスの利用を検討されている方は、少し参考にしてみてください。



極端な話し、夜間対応型訪問介護のメリット・デメリットは、要介護者の安心感をお金で買うかどうかに尽きます。

たとえサービス利用者が通報しなくても、毎月、基本料を支払わなければならないため、あまりサービスを利用しないような場合には割高感があるでしょう。

したがって、その辺の事情も十分に考慮しながら、利用の有無を判断することが大切です。

メリット チェック遠方で一人暮らしする高齢者の安否が確認ができる安心感!

チェック夜間帯に専門スタッフが対応(助けを呼べる)してくれる心強さ!
デメリット チェック訪問介護などに比べると利用料金が高い…(思いのほか費用は安いのだが、オペレーションセンターが設置されている事業者を利用すると、訪問回数が多くなるにしたがって自己負担が増えてしまう)

チェック地域によっては、夜間対応型のサービスを提供している事業所が少ないため、利用したくても利用できないことも…