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ロフストランドクラッチの基礎知識

ロフストランドクラッチの使い方program

ロフストランドクラッチとは、握り(ハンドグリップ)の上部に腕を支えるための《カフ》と呼ばれるサポート機構が取り付けてあるタイプの杖のことです。

クラッチの構造

グリップとカフの2点を使って体重がうまく杖先に伝わるような工夫がされているため、ロフストランドクラッチは、ハンドグリップ1点で支える一般的なT字(L字)型杖よりも安定した歩行が可能であり、前腕部が支点になることから、体重も分散しやすく、握力の弱い方でも使いやすのが特徴です。
長さ(高さ)調節のコツ
ロフストランドクラッチは、あくまで歩行をサポートするための補助具なので、不適切な使い方をしていると、かえって歩行時の負担が増すことも考えられます。

特に高さ調節(ハンドグリップ 〜 杖先)は、歩行時の姿勢にも大きくかかわってくるので、正しい位置にくるよう必ず各自で調節してください。
カフ 〜 ハンドグリップ
ロフストランドクラッチの特徴ともいえる部分がカフ≠ナす。

高さ調節イメージ

この部分は市販されているすべての製品が調節可能というわけではありませんが、最近はカフからハンドグリップまでの長さが調節可能なタイプのロフストランドクラッチも増えています。

ハンドグリップから杖先までの高さ調節ほど重要度は高くありませんが、ハンドグリップからカフまでの距離があまり短すぎても前腕の力がうまく利用できないため、手関節等に強い負担がかかってしまい痛みをともなうなどの症状が出てくることもあるようです。

したがって、この部分が固定されているタイプのロフストランドクラッチを購入する際は要注意です。
ハンドグリップ 〜 杖先
歩行時の姿勢を大きく左右するため、最も気を付けたい調節部分がこの部分です。

高さ調節イメージ2

ロフストランドクラッチも、ハンドグリップの握る位置(高さ)という点においては、一般的なT字型杖とほぼ同じなので、グリップを握った時に肘が軽く曲がる程度の高さに設定するのがポイントです。

概ね身長の1/2+2〜3cm程度が目安であるともいわれています。

例】身長160cmの場合
160 ÷ 2 + 2 〜 3 = 82 〜 83 cm

なお、ハンドグリップの高すぎる設定は、かえって歩行時の姿勢を悪くし、手関節や肩、肘に負担をかけやすく、痛みのもとにもなるので注意して下さい。

※ ただし、あくまで基本なので、肩や関節の痛みがあるような場合は、状態に応じて痛みのない高さに設定してください。

杖の高さ調節の基本

杖の先を脚先より15cm程前に、そしてその位置から外側に同じく15cm程の距離に杖先をつき、肘を軽く曲げた状態(概ね30〜40度)で高さを設定。

杖を使った歩行の基本
T字型杖とは異なり、ロフストランドクラッチは松葉杖のように、左右2本1組で使用する使い方もできますが、どちらかというと片手で体重が支えられる程度の患者に向いている歩行補助具なので、ここでは片手で使用することを想定した歩行の基本動作について紹介しておきましょう。

ロフストランドクラッチを使った歩行は、通常《2動作歩行》と《3動作歩行》の2パターンが基本となります。

2動作歩行における足の運びは、ほぼ通常の歩行と変わりないので、バランスがとれず歩行がおぼつかない方は、まず3動作歩行から始め、慣れたら2動作歩行へシフトしていくようにしましょう。

歩行イメージ

※ 意外と思われる方も多いようですが、杖は通常、患脚とは反対側の手で持つのが基本です。


ロフストランドクラッチの選び方

一見、どれも同じように見えるロフストランドクラッチ≠ナすが、シャフトやハンドグリップの素材をはじめ、カフの形状や高さ(長さ)調節の有無など、商品によって違いがあります。

特にロフストランドクラッチは、T字型杖に比べ、カフと呼ばれるサポート部分がプラスされ、前腕部が固定されることになるため、自分の体に合ったものを使わなければ、かえって疲れてしまうこともあるので注意が必要です。

そこで、参考までにロフストランドクラッチの選び方の主なポイントについていくつか挙げておきましょう。
ロフストランドクラッチ選びのポイント

チェック グリップに使われている素材は何か?(杖を使う人は握り手が痛くなる人も多い。したがって、個人差もあるがソフトグリップの方が適している。なお、合成樹脂や木製のグリップは、比較的、握りが硬い。)
チェック 高さ(長さ)調節(杖先〜グリップまで/グリップ〜カフまで)は可能か?(製品によっては調節できないものもある。カフの調節ができないと、人によってはひじがあたるなどして痛みを伴う場合もあり、長距離歩行には向かないものも…)
チェック カフの形状はどうか?(大別するとU字型(オープンカフ)とO字(C字)型(クローズドカフ)とに分かれる。U字カフは、はめやすいが安定感に欠ける。一方、O字カフはホールド力は高いが、バランスを崩して転んだ際に外れにくいため、思わぬ事故に遭う危険も高い!)
チェック カフの素材は何か?(合成樹脂よりも金属製の方が強度はあるが、フィット感が得られにくいため、長時間使用すると前腕が痛くなる人も…)
チェック 杖先ゴムの素材は何か?(ゴム製が一般的だが、中には合成樹脂などの素材もある。唯一、地面と接する部分なので、歩行時の負担を軽減する意味でも耐久性やクッション性をはじめ、滑りにくさ、あるいは片減りした場合に交換可能かどうかを確認すること)