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歩行補助具:ロフストランド杖

ロフストランド杖の基礎知識program

歩行補助を目的とした福祉用具にも様々なタイプの製品がありますが、T字型杖よりも安定性の高い歩行補助具がロフストランド杖≠ナす。



ロフストランド杖は、下図のようにハンドグリップ(握り)の上部に、腕を支えるための《カフ》と呼ばれるサポート機構が取り付けてあります。

ロフストランド杖の構造

そのため、握り手と前腕部分を使って体(体重)を支えることができるため、歩行時の安定感はT字型杖よりも高くなります。

※ ロフストランド杖を使用した場合、片側について歩くと使用者にかかる重量は体重の概ね2/3程度に軽減されるようです。
T字型杖との違い

チェック前腕と手関節を使って体を支えるため、T字型杖よりも安定した歩行が可能!

チェック前腕部が支点となるため、体重が分散し、T字型杖よりも手首への負担が少なく握力を必要としない!

ロフストランド杖が適している方

チェック下半身麻痺(片麻痺)
チェック下肢に体重をかけることができない方(ねんざ/骨折/股関節症/下肢切断…など)
チェック高齢者

また、ロフストランド杖は、必ずしも片手で使用しなければならない歩行補助具ではないので、左右2本1組で松葉杖のような使い方も可能です。

※ ヨーロッパなどでは、松葉杖よりもロフストランド杖の方が一般的です。
杖先ゴムは消耗品 !?
ロフストランド杖にしろ、T字型杖にしろ、床面と接する杖先の重要性はなんら変わりありません。

杖先の滑り止め(合成樹脂等の素材もあるが大半はゴム製)が片減りしていると、バランスが取りにくかったり、滑りやすいため、思わぬ事故(転倒)につながる危険があります。

杖先ゴム画像

特に屋外で使用する機会が多いと、予想以上に磨耗が激しいので、杖先のゴムは、日頃からこまめに点検することが大切です。

そのため、杖先の滑り止めは消耗品と理解し、長期間使用する場合には、杖の購入と一緒にいくつかまとめ買いしておくのもよいでしょう。

※ メーカーによってサイズや形が異なってくるので要確認!

ロフストランド杖選びの際のポイント

一見、どれも同じように見えるロフストランド杖ですが、シャフトやハンドグリップの素材をはじめ、カフの形状や高さ(長さ)調節の有無など、商品によってまちまちです。

アームカフ画像

特に杖のような歩行補助を目的とした福祉用具は、自分の体に合ったものを使わないと、かえって疲れてしまうこともあるので、参考までにロフストランド杖選びの主なポイントについていくつか挙げておきましょう。
ロフストランド杖選びのポイント

チェック グリップに使われている素材は何か?(杖を使う人は握り手が痛くなる人も多い。したがって、個人差もあるがソフトグリップの方が適している。なお、合成樹脂や木製のグリップは、比較的、握りが硬い。)
チェック 高さ(長さ)調節(杖先〜グリップまで/グリップ〜カフまで)は可能か?(製品によっては調節できないものもある。カフの調節ができないと、人によってはひじがあたるなどして痛みを伴う場合もあり、長距離歩行には向かないものも…)
チェック カフの形状はどうか?(大別するとU字型(オープンカフ)とO字(C字)型(クローズドカフ)とに分かれる。U字カフは、はめやすいが安定感に欠ける。一方、O字カフはホールド力は高いが、バランスを崩して転んだ際に外れにくいため、思わぬ事故に遭う危険も高い!)
チェック カフの素材は何か?(合成樹脂よりも金属製の方が強度はあるが、フィット感が得られにくいため、長時間使用すると前腕が痛くなる人も…)
チェック 杖先ゴムの素材は何か?(ゴム製が一般的だが、中には合成樹脂などの素材もある。唯一、地面と接する部分なので、歩行時の負担を軽減する意味でも耐久性やクッション性をはじめ、滑りにくさ、あるいは片減りした場合に交換可能かどうかを確認すること!)
矢印

豆知識:セブンスエルボークラッチとは?

ハンドグリップを握り、アームカフで前腕を固定し体重を支えるという点においては、通常のロフストランドクラッチも、セブンスエルボークラッチもほぼ同じですが、支柱に対するグリップの位置が異なってきます。

クラッチの違い
通常のロフストランドクラッチ
支柱に対し、グリップの位置が前方にある
セブンスエルボークラッチ
ちょうど支柱の中心にグリップの中心がくる

支柱の中心にグリップがくる分、通常のロフストランドクラッチよりも安定感があり、杖が左右に回転してしまうようなブレが起こりにくいといった意見もありますが、使用感には個人差もあるので、自分の使いやすい杖を選ぶことが大切です。