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福祉用具:電動カー編

これだけは押える!電動カーの基礎知識program

数ある福祉用具のひとつに電動カー(電動カート、シニアカー)≠ニ呼ばれる乗り物があります。



この電動カーは、足腰の不自由(身体能力の低下)な高齢者や障害者の長距離移動をサポートするために作られた福祉用具ですが、介護保険制度の福祉用具貸与サービスの対象にもなっていることも背景にあってか、市販の電動カーに対する需要は、年々、高まっているようです。

しかし、利用者が増えたことで、電動カーがらみの事故やトラブルも増加傾向にあると聞きます。

電動カーのトラブル

そこで、電動カーの購入やレンタル前に、とりあえず押えておきたい基礎知識や特徴についてまとめてみたので、関心のある方は少し参考にしてみてください。
電動カーの種類と特徴
ひと口に電動カー≠ニ言っても、その種類は様々で、デザインや機能等によって異なってきますが、ザックリ分けると、三輪タイプと四輪タイプに分類することができます。

特徴
三輪タイプ

前1輪
×
後2輪
前輪駆動 前輪にモーターがつながっているタイプの電動カー。四輪に比べ回転範囲が小さく小回りが利くため、屋内や歩道の狭い通路に適している。また、このタイプは分解することのできる製品も少なくない(つまり、車のトランクなどに収納可能)。一方、タイヤの接地面が少ないため、4輪タイプに比べると転倒の危険性は高くなること、後輪駆動タイプに比べ前輪にかかる荷重が小さいため、駆動力が思うように発揮されず、段差のある歩道や坂道の多い通路にはあまり適さない…といったデメリットが挙げられる。
後輪駆動 初期に販売された電動カーの大半が、この後輪駆動タイプの3輪車。利用者も多く、4輪よりも小回りが利くため、主に道幅の狭い通路を行き来するような屋外の移動手段に適している。4輪タイプに比べると安定性はどうしても低くなるが、後輪にモーターがつながっているため、前輪駆動3輪車よりも駆動力はある。
四輪タイプ

前2輪
×
後2輪
後輪駆動 段差や傾斜の影響による転倒の危険性が最も低いタイプの電動カー。3輪タイプに比べ安定性が高いため、主に屋外における移動手段に適しているが、前輪が2輪であるため、回転範囲が大きく、あまり小回りは利かない(さらに付け加えると、ハンドルを曲げる際に内輪差が生じるため、自動車運転の経験がないと慣れが必要)。また、ハンドル操作も3輪タイプに比べると重く感じてしまうものが多い。
四輪駆動 最近、新たに市場投入され始めたタイプの電動カー。基本的な特徴は後輪駆動式の4輪車と大差ないが、前輪と後輪にそえぞれモーターがつながっているため、常に安定した走行が得られやすい。また、パワーがあるため、障害物の多い屋外(段差や坂道)の移動手段にも適している。

近年は利用者の安全が最も確保しやすい四輪タイプの電動カーが主流のようですが、利用目的によっては小回りの利く三輪タイプの方が使い勝手がよい場合もあるので、一概に四輪車製品がおススメとは言い切れません。
電動カーの落とし穴
電動カーは、モーターの駆動力で走り出す電動車ですが、自動車やバイクのように運転免許を必要としません。

事故イメージ

また、法律(道路交通法)上は歩行者として扱われるため、屋外では歩道を走ることになります。

他にも、電動カーには一定のルールがあり、最高速度は《時速6km》を超えないことといった基準などが定められていますが、電動カーの利用率が高まるにつれて、次のようなトラブルが増えているということも見逃せません。
過去に起こったトラブル

チェックアクセルレバー等の操作ミスによる怪我
チェック走行時の運転ミスによる転倒・転落事故(車輪が溝に落ちた…など)
チェック重心(体重)のかけ方や荷物の乗せ方が悪かったことによる転倒
チェック外出時におけるバッテリー切れ
チェック歩道走行中のベビーカーとの衝突事故
チェック道路横断中の自動車との接触事故
チェック坂道走行中にブレーキの利きが甘かったことによる転倒
チェック自分が想像していた以上にスピードが速く危険を感じた …など

特に高齢者や障害者が外出時の移動手段として電動カー(車いすなども含む)を利用している場合のトラブルは、道路横断中の自動車との接触事故が多いようで、電動カー等の福祉用具は車高が低く自動車からは見えにくいということを常に意識しておくことが大切です。


福祉用具:電動カー選びのポイント

先に紹介したとおり、電動カーにも様々なタイプがありますが、使用目的に合わせた福祉用具を選ぶことが大切です。

そこで、電動カーをレンタル(あるいは購入)する際には、どういった点に注意を払えばよいのか、参考までに選ぶ際のポイントについていくつか挙げておきましょう。

なお、電動カーのような福祉用具は、座り心地など、実際に使ってみなければ気付かないような細かな点がいくつもあります。

電動カーを扱っているメーカーや団体、業者の中には、無料試乗会(出張実演など)を実施したり、施設や地域が行っているイベント事などの際に、展示会や説明会などを開いているところもあるので、これらの試乗体験を積極的に利用(参加)してみることをおススメします。
電動カー選びの際のポイント

チェック 使用目的(屋外?屋内?)の中心は何か?(例 … 屋内中心なら小回りの利く3輪タイプ…/障害物の多い道路は4輪タイプ…など)
チェック 振動(未舗装や砂利道など)の多い歩道を通ることが多いか?(サスペンション装備のものを選ぶ)
チェック シートは回転(昇降)するか?(障害の程度によっては、回転式の方が乗り降りしやすい場合も…)
チェック 保管場所はあるか?(車体サイズの確認!4輪タイプの方がスペースをとるものが多い)
チェック バッテリーの持続時間はどうか?(併せて、取り外しが簡単かもチェック!)
チェック 自動車のトランクなどに入れて持ち運びたい(分解式の電動カーを検討してみる)
チェック 操作は簡単か(複雑なものは誤動作のもと…)?
チェック 故障時のアフターケアはどうか?
チェック (要介護者の場合)介護保険の適用福祉用具か?
チェック 緊急停止装置の仕組みはどうか?
チェック 自動減速装置機能は付いているか?(安全性をより重視するなら、カーブ時に自動的に減速する機能が備わっているとより安全)
チェック タイヤの種類(ノーパンクタイヤならパンクのリスクはない(ただし、長年使っていると故障することも…)が、クッション性(振動軽減)を重視するならエアタイヤの方が適している)
チェック アームレスト(腕置き)機能はどうか?(跳ね上げ式の方が乗り降りが楽)