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認知症ケア専門士のメリット&デメリット

認知症ケア専門士のメリットとは…program

認知症は必ずしも高齢者の病気というわけではありませんが、加齢とともにその発症率は高まります。

現在、日本は世界トップレベルの長寿国であり、それに比例して認知症患者の数も増え続けていることから、今後、認知症患者をいかにしてサポートしていくかが超高齢化社会の課題のひとつと考えられているようです。

認知症高齢者に関する参考資料

特に認知症は、中核症状のほかに様々な周辺症状が見られ、個々の患者によって症状に合わせたケアが必要になることから、サポートする側の負担が大きいといった声も少なからず聞こえてきます。

そこで、認知症ケアに関する一定の知識と技術を備えたスペシャリストを養成し、認知症患者のケアに当たらせることを目的とした新たな資格が認知症ケア専門士≠ナす。



※ 2009年度より、認知症ケアでのチームリーダーや地域におけるアドバイザーとして活躍することができる上級専門職として「認知症ケア上級専門士制度」が創設されました。

認知症患者の症状

今後、さらに高齢化が進むことで認知症患者の数も増えることが予想される今、認知症ケア専門士は、これから活躍する場が増えるのではないかと期待されている面もあり、その注目度が受験者数の増加にも現れています。

しかし、比較的新しい資格のため、関心はあるけど、取得するだけのメリットがあるのかどうか様子を伺っている人も少なくないようで、受験者数は第5回試験をピークに減少傾向にあるようです。

そこで、認知症ケア専門士の資格を取得すると、どのようなメリットがあるのか、これまでの活動や資格取得者の声を参考に少しまとめてみましょう。


認知症ケア専門士:資格取得後のメリットと不満

数年前に公開された映画『明日の記憶』や『私の頭の中の消しゴム』がヒットした影響もあってか、認知症という言葉は、痴呆症と呼ばれていた頃よりも広く認識されるようになりましたが、残念ながら、いまだ単なるボケ老人≠ニしか思っていない方も少なくありません。

矢印

認知症は進行性の脳疾患であり、いまだ根本的な治療法は確立されていないため、認知症患者といかに向き合っていくかがひとつの課題でもありますが、介護する側が認知症という病気がどんなものであるかをある程度理解していなければ、彼らとうまく接することはできません。

つまり、認知症ケア専門士の資格を取得するということは、認知症という病気に対し前向きに学び、理解するための場がひとつ提供されたことになります。

※ 目標を持つ(この場合は、認知症ケア専門士の資格を取る)ことで、はじめてモチベーションを高めることができる人も少なくありません。

また、認知症ケア専門士には、生涯学習が義務付け(更新時に必要)られているため、資格を取得することで、認知症に関する情報を発信している学会やセミナー等に積極的に参加するキッカケも増えることから、認知症に関する最新情報を常に入手することができるという点において役立つ資格であるとみることもできるかもしれません。

さらに、資格を通じて共通の問題を抱えた仲間ができやすくなるといった点も、ある意味メリットといえばメリットといえるでしょう。

しかし、一方では認知症ケア専門士の資格は、次のような理由から、わざわざ取得するほどのメリットは少なく、魅力も感じないという人がいるのも事実です。
資格に魅力を感じない理由

チェックなんだかんだで、維持費(登録料、更新料、学会参加費など)がかかる…

チェック国家資格ではない…

チェック資格自体がまだ新しく、一般的にはそれほど広く認識されていないため、社会的立場が低い…

チェック資格手当が付くような事業所は少ない…

チェックケアマネや介護福祉士のように介護保険制度上の利点(特定事業加算など)がない…(事業所側にとって直接的なメリットはほとんどみられない)

特に認知症ケア専門士は資格取得後の維持費が馬鹿にならないという点がネックになっている人も多いようです。

生涯学習制度を導入し、資格取得者の知識や技術を常に最新のレベルに保つという点においては、この手の福祉系資格においては理にかなっているようにも思えますが、受験料をはじめ、単位取得に必要な学会やセミナー参加費を含めると、認知症ケア専門士の資格の取得・維持にかかる費用は決して安いとは言えません。

資格のメリット

そのため、資格を取得することのメリットよりも、どちらかというとマイナス面でのイメージが強く、現時点においては、あまり魅力を感じないという声も少なからず聞こえてきます。

これらの意見を踏まえると、現時点においては認知症ケア専門士という資格は、損得で判断して取得するような資格ではなく、あくまで認知症という病気を理解し、少しでも前向きに認知症患者と向き合いたい職場スタッフ向けの資格と考えられ、収入や転職の際の武器として期待しているような方には、あまり適していない資格であるといえそうです。