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アルツハイマー型痴呆症:検査の種類

アルツハイマー型痴呆症の基礎知識program

コレだけは押える!アルツハイマー型痴呆症かどうか判別するための検査方法

アルツハイマー型痴呆症による知的機能の低下は、単なる物忘れ≠ニは違い、脳そのものが病気に侵されてしまうために起こる障害のひとつです。

※注:厚労省は2004年12月より「痴呆症」から「認知症」へと名称変更を行ったため、現在は日本医師会でも「認知症」という用語で統一するよう指導していますが、病状に違いはありません。

この脳疾患は、ドイツの精神医学者アロイス・アルツハイマー氏が最初に症例報告(1907年)を行ったことから、報告者である博士の名前が病名に付けられていますが、その原因や仕組みについては未知の部分もあり、残念ながらアルツハイマー型痴呆症を完全に治す治療法はいまだ確立されていません。

※ ドイツ南西医学会で世界最初の患者に関する症例を発表したのは1906年。

しかし、現在はアルツハイマー型痴呆症にかかったとしても、早期治療に臨むことで、症状の進行をある程度遅らせることは可能だと考えられています。

したがって、アルツハイマー型痴呆症の疑いがある場合は、早めに一度、専門医に診てもらうことをお勧めしますが、この手の病気は患者本人が認めたくなかったり、家族が隠しがちなので、病院ではいったいどのような検査が行われているのかあまり知られておらず、不安になる方も少なくないようです。

そこで、アルツハイマー型痴呆症の疑いのある患者に対して病院が行う検査は、いったいどのよう方法なのか、その代表的な検査方法をいくつか紹介しておきましょう。


病院で行う主な知能検査
アルツハイマー型痴呆症の疑いがある患者に対して行われる検査内容は病院によって異なりますが、痴呆症であるかどうかを短時間で、ある程度判別するために実際に利用されている代表的な検査方法が『MMSE検査』と『長谷川式簡易知能評価スケール』の2つです。

いずれの検査方法も被験者に対し口頭による質問形式で行われ、主に記憶力、計算力、言語力、見当識(現在の日時や自分がどこにいるかなどの状況把握)といった能力を測定します。

MMSE検査
MMSEはミニメンタル・ステートの略。1975年、米国のフォルスタイン夫妻が考案した世界で最も有名な知能検査テスト。詳細については事項で説明。
長谷川式簡易知能評価スケール
聖マリアンナ医科大名誉教授である長谷川和夫氏が1974年に考案した知能検査テスト。1991年には改訂長谷川式簡易知能評価スケールとして改訂された。MMSE同様、痴呆症かどうかを短時間(5〜10分程度)で判別するためのテストとしては定評があり、よく利用されている。MMSEよりも質問項目が少ないのが特徴。ちなみに、数年前に公開された渡辺謙主演の映画『明日の記憶』でも用いられた検査方法。

病院で行う主な画像検査
問診や診察、先に紹介した知能検査を行った結果、アルツハイマー型痴呆症の疑いがあると判断された場合には、次のような医療機器を用いて脳自体の検査を行い、病気の原因等を突き止めるのが一般的です。

CT検査 エックス線を使い脳を輪切りして撮影し、画像化する検査方法。患者の脳がどのくらい委縮(縮む)しているかを把握することができる。また、脳腫瘍や脳梗塞などの有無を検査することも可能(脳腫瘍などが原因で記憶障害を起こしているケースもある)。
MRI検査 核磁気共鳴映像法。CT検査とは異なり、放射線を使わない検査方法。人体の磁気共鳴作用を利用して、縦、横、輪切りによる撮影が可能なことから脳を三次元的に分析することができるため、CT検査の上を行く検査方法と言われている。主に脳腫瘍や動脈硬化などの発見に有効な検査方法。
PET検査 アルツハイマー病患者の脳は、神経細胞が委縮しブドウ糖の消費が減るため、その働きを調べることのできる検査方法がPET検査。撮影した画像で、青色に表示された部分は脳の活動低下(赤色は脳の活動が活発であることを示している)を示しているため、比較的初期段階のアルツハイマー病を発見する検査方法として有効だと考えられている。
SPECT検査 脳の血流状態を画像で見ることのできる検査方法。 アルツハイマー型痴呆症患者の脳は、頭頂葉内側の楔前部などで血流の減少が見られることから、血流の減少部位を確認するために利用される。

自宅でできるアルツハイマー型痴呆症:判別知能検査 【MMSE検査】

世界で最も有名な知能検査だと言われているのが、フォルスタイン夫妻が考案したMMSE(ミニメンタル・ステート)検査(各質問に点数があり、30点満点で判定)で、設問数に関しては『長谷川式簡易知能評価スケール』よりも2問ほど多く、図形問題などがプラスされているのが特徴です。

アルツハイマー型痴呆症などの疑いのある患者のために考案された簡便な検査方法で、被験者に対し口頭による質問形式で行われます。

このMMSE検査は、主に記憶力、計算力、言語力、見当識(現在の日時や、自分がどこにいるかなどの状況把握力)を測定するためのテストですが、下記に示した質問内容をご覧になっても分かるとおり、大の大人に対して問うような質問とは言い難い項目が大半で、自分がアルツハイマー型痴呆症の疑いがあると言う事実を受け入れられない被験者にとっては馬鹿にされたような気持ちになったり、真剣に答えない場合も少なくない…ということも、ある程度、理解しておくべきでしょう。

しかし、この簡便なMMSE検査は、比較的、自宅でも手軽に行える検査方法なので、アルツハイマー型痴呆症の疑いのある被験者が身近にいるような場合は、一度、試してみるのもよさそうです。
判定結果

27〜30点 正常
22〜26点 軽度痴呆症の疑いもある
21点以下 どちらかというと痴呆症の疑いが強い

※ 判定結果は上記と異なる診断をする場合もあるので、26点以下の被験者が必ずしも痴呆症にかかっているとは断定できません。ただし、21点以下の場合は、痴呆症の疑いも捨て切れないので、早めに一度、専門医の診断を受けることをおススメします。
MMSE(ミニメンタル・ステート)検査

設問 質問内容 回答 得点(30点満点)
1
(5点)
今年は何年ですか?
今の季節は何ですか?
今日は何曜日ですか?
今日は何月何日ですか?


曜日

0/1
0/1
0/1
0/1
0/1
2
(5点)
この病院の名前は何ですか?
ここは何県ですか?
ここは何市ですか?
ここは何階ですか?
ここは何地方ですか?
病院



地方
0/1
0/1
0/1
0/1
0/1
3
(3点)
物品名3個(桜、猫、電車)
※ 1秒間に1個ずつ言う。その後、被験者に繰り返させる。正答1個につき1点を与える。3個全て言うまで繰り返す(6回まで)
0〜3
4
(5点)
100から順に7を引く(5回まで)。 0〜5
5
(3点)
設問3で提示した物品名を再度復唱させる。 0〜3
6
(2点)
(時計を見せながら)これは何ですか?
(鉛筆を見せながら)これは何ですか?
0/1
0/1
7
(1点)
次の文章を繰り返す
「みんなで、力を合わせて綱を引きます」
0/1
8
(3点)
(3段階の命令)
「右手にこの紙を持ってください」
「それを半分に折りたたんで下さい」
「それを私に渡してください」
0/1
0/1
0/1
9
(1点)
(次の文章を読んで、その指示に従って下さい)
「右手をあげなさい」
0/1
1
0(1点)
(何か文章を書いて下さい) 0/1
11
(1点)
(次の図形を書いて下さい)
図形
0/1