介護福祉士国家試験は大きく2つ筆記試験≠ニ実技試験≠ニに分かれますが、通常は双方の試験に合格してはじめて介護福祉士の資格を取得することができる仕組みになっています。
※ 以前は国家試験を受けなくても介護福祉士の資格を取得することができる養成施設ルートもありましたが、死刑制度改正により、平成27年度(第28回)以降は養成施設卒業者も国家試験が必要!
ところが、2005年度以降、実技試験を受けなくても、介護福祉士の資格が取得できる制度が新たに導入されました。
この制度が実技免除制度です。
つまり、介護福祉士を目指す受験者は、実技試験を直接受けて資格を取得するルートと、実技試験を受けずに資格を取得する実技免除ルートの2つの選択権が与えられたわけです。
そこで、実技免除ルートで介護福祉士の資格取得を目指している方が、とりあえず押えておいてほしい基本知識をザッとまとめておくので、まずはその制度の概要を把握しておきましょう。
介護福祉士試験の実技免除利用者が受講しなければならない講習会が介護技術講習≠ナす。
この講習会は厚生労働大臣に実施を届け出た介護福祉士要請施設が行いますが、介護技術講習を受講するには、次のような受講資格を満たしていなければなりません。
介護福祉士国家試験を受ける予定があり、実技試験の免除を希望する者 ※ 介護福祉士試験には「実務経験3年以上(またはそれに準ずる者)」「福祉系高等学校(福祉科・福祉コースなど)卒業者」といった受験資格があります。 |
また、実技講習の受講定員には限りがあるので、直近の介護福祉士試験を受験する者が優先される場合もあるということも併せて覚えておきましょう。
介護福祉士実技免除ルート利用者が受講しなければならない講習会では、どのようなことが行われるのか・・・
とても気になるところかと思われるので、参考までに大阪摂津福祉専門学校で実際に行われた介護技術講習のスケジュールを示しておきます。
日程 | 内容 | |
1日目 | 9:00〜18:30 | オリエンテーション |
介護過程の展開 | ||
コミュニケーション技術 | ||
移動の介護 | ||
2日目 | 9:00〜18:30 | 衣服着脱の介護 |
食事の介護 | ||
3日目 | 9:00〜18:30 | 排泄の介護(移動の介護含む) |
入浴の介護 | ||
4日目 | 9:00〜17:30 | 介護課程の展開 |
総合評価のオリエンテーション | ||
総合評価(修了認定試験) |
【参考資料:大阪総合福祉専門学校HP】
いずれにせよ、どの講習内容も講義と演習があり、計32時間分の講習を、概ね4日間(8時間×4日)に分けて実施するのが一般的なようですが、介護技術講習会の開催時期は、講習会を実施する各養成施設ごとに異なってくるので、受講希望先に問い合わせるなどして必ず各自で直接チェックして下さい。
また、講習を受講する際にかかる費用ですが、開催時期と同様、この受講料についても各養成施設ごとに異なってきます。
参考までに、各地域で実施している主な講習会にかかる受講料を右記表に挙げてみましたが、概ね5〜6万円前後が相場と思ってよいかもしれません。
※ 実施年度により開催しない、あるいは受講料の変動もあるので、詳細については各スクールへ直接お問合せ下さい。
東京 | 日本福祉教育専門学校 | 54,500円 |
日本社会事業大学 | 64,000円 | |
群馬 | 藤仁館学園 高崎福祉カレッジ | 62,800円 |
愛知 | 名古屋福祉専門学校 | 65,000円 |
広島 | 広島福祉専門学校 | 52,000円 |
大阪 | 大阪総合福祉専門学校 | 44,900円 |
沖縄 | 沖縄アカデミー専門学校 | 50,000円 |
介護福祉士実技免除制度の導入により、受験者の選択肢は広がりましたが、いくつか注意しなければならない点があります。
そこで、実技免除制度の利用を検討されている方が、特に押えておかなければならない注意事項を下記にまとめておくので、講習利用者は次のような点を十分に踏まえ、後々、自分には実技免除を受ける資格がなかった!ということのないよう気をつけてください。
介護技術講習を受講することで免除される介護福祉士の試験内容は、実技試験に限るため、講習修了者も筆記試験≠ヘ受けなければなりません。
介護技術講習を受講したからといって、受講者全員が終了証明書を交付されるわけではないので、講習内容の総合評価によっては、交付されない場合もあります(ただし、普通にこなしていればあまり心配いりません)。
実技試験の免除申請は介護福祉士国家試験の申込みと一緒に行わなければなりません。
したがって、実技免除希望者は受講修了証明書等の原本を添付する必要があるので紛失しないよう必ず大切に保管するようにしてください。
介護技術講習終了証明書を交付された者は、実施後に行われる介護福祉士国家試験の実技試験が無制限に免除されるわけではありません。
つまり、講習実施後に行われる第27回介護福祉士国家試験で不合格になっても、第28回・29回に行われる試験までは有効ということです。