介護支援専門員(ケアマネージャー)の資格を取得するためには、年1回実施(10月予定)される介護支援専門員実務研修受講試験に合格しなければなりません。
そのため、介護支援専門員を目指している人にとって、試験の合格率は少なからず気になるところかと思います。
そこで、厚生労働省が発表している合格率をはじめとした試験結果について、下記に把握しやすいようまとめておくので、興味のある方は少し参考にしてみてください。
介護支援専門員実務研修受講試験は、平成10年にスタートした資格試験ですが、【資料:1】によると、合格率はゆるやかな下降傾向にあり、約2人に1人の合格者を輩出していた試験開始当初に比べると、現在の合格者は4人に1人程度という狭き門になりつつあることが伺えます。
年度 | 受験者 | 合格者 | 合格率 | |
第1回(H10) | 207,080 | 91,269 | 44.1% | --- |
第2回(H11) | 165,117 | 68,090 | 41.2% | -2.9 |
第3回(H12) | 128,153 | 43,854 | 34.2% | -7.0 |
第4回(H13) | 92,735 | 32,560 | 35.1% | ⁺0.9) |
第5回(H14) | 96,207 | 29,508 | 30.7% | -4.4 |
第6回(H15) | 112,961 | 34,634 | 30.7% | ±0.0 |
第7回(H16) | 124,791 | 37,781 | 30.3% | -0.4 |
第8回(H17) | 136,030 | 34,813 | 25.6% | -4.7 |
第9回(H18) | 138,262 | 28,391 | 20.5% | -5.1 |
第10回(H19) | 139,006 | 31,758 | 22.8% | ⁺2.3 |
第11回(H20) | 133,072 | 28,992 | 21.8% | -1.0 |
第21回(H21) | 140,277 | 33,119 | 23.6% | ⁺1.8 |
第13回(H22) | 139,959 | 28,703 | 20.5% | -3.1 |
第14回(H23) | 145,529 | 22,332 | 15.3% | -5.2 |
第15回(H24) | 146,586 | 27,905 | 19.0% | ⁺3.7 |
第16回(H25) | 144,397 | 22,322 | 15.5% | -3.5 |
第17回(H26) | 174,974 | 33,539 | 19.2% | ⁺3.7 |
第18回(H27) | 134,539 | 20,924 | 15.6% | -3.6 |
試験開始当初に見られた高い合格率の背景には、日本がこれから突入するであろう超高齢社会に向けて、今後は介護保険制度のキーパーソンとして、ケアマネージャーに活躍してもらう必要がある(つまり、ケアマネの数を確保する必要性があった)と考えた主催者側の目論みがあったのではないかと思われますが、第13回介護支援専門員実務研修受講試験後には、約52万人ほどの有資格者が誕生していることから、この有資格者の中にペーパーケアマネがいることを考慮しても、数の上では飽和状態にあるとも言われています。
そのため、介護支援専門員実務研修受講試験の合格率は、ここ数年15~20%前後で推移していますが、これらの背景を踏まえると、よほどの事情がない限り、今後も試験合格率は下がる(第14回試験では、ついに10%台に突入!)ようなことはあっても、急激に上昇するようなことはなように思われます。
したがって、介護・福祉業界で長く働きたい!そのためのケアマネ資格の取得を考えている!という人は、出来るだけ早いうちに取得しておいた方が無難な資格なのかもしれません。
介護支援専門員実務研修受講試験には受験資格があります。
そのため、社会人受験者の多い資格試験と言えますが、厚生労働省は介護支援専門員実務研修受講試験の合格率だけでなく、職種別合格者数についても発表しているので、第1~18回試験までに、どんな職種の人が、どの程度合格しているのか?
そのあたりをランキング形式にまとめてみたデータが【資料:2】です。
職種 | 合格者 | 構成比率 |
介護福祉士 | 274,257 | 42.2% |
看護師、准看護師 | 163,277 | 25.1% |
相談援助業務従事者・介護等業務従事者 | 71,248 | 11.0% |
社会福祉士 | 39,690 | 6.1% |
保健師 | 26,605 | 4.1% |
薬剤師 | 19,971 | 3.1% |
医師 | 15,171 | 2.3% |
理学療法士 | 13,913 | 2.1% |
栄養士(管理栄養士を含む) | 12,593 | 1.9% |
歯科衛生士 | 11,241 | 1.7% |
作業療法士 | 8,473 | 1.3% |
あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師 | 8,259 | 1.3% |
精神保健福祉士 | 5,200 | 0.8% |
柔道整復師 | 3,862 | 0.6% |
歯科医師 | 3,744 | 0.6% |
助産師 | 1,891 | 0.3% |
言語聴覚士 | 1,157 | 0.2% |
視能訓練士 | 215 | 0.0% |
義肢装具士 | 126 | 0.0% |
※ 第1~18回試験の合計
この資料によると、介護福祉士や(准)看護師といった介護福祉の仕事と密接な関係にある職種に就いている者だけで全体の60%超を占めていますが、中にはケアマネの仕事との間に接点の少なそうな歯科医師なども含まれており、興味深い点をのぞかせています。
しかし、基本的には、やはり介護福祉士や看護師等の職に就く者が、スキルアップの一環として試験に臨んでいるというのが実情のようです。
さらに、参考までに都道府県別の合格者数をまとめた一覧表【資料:3】も掲載しておきます。
北海道 34,181 青森県 7,666 岩手県 6,615 宮城県 10,775 秋田県 6,522 山形県 6,584 福島県 9,482 茨城県 11,372 栃木県 7,576 群馬県 10,208 埼玉県 26,76 千葉県 22,524 東京都 56,525 神奈川県 37,063 新潟県 13,305 富山県 6,122 石川県 6,967 |
福井県 5,287 山梨県 4,464 長野県 12,922 岐阜県 10,208 静岡県 16,586 愛知県 31,941 三重県 9,705 滋賀県 6,626 京都府 15,339 大阪府 49,156 兵庫県 29,606 奈良県 7,455 和歌山県 6,279 鳥取県 3,828 島根県 5,312 岡山県 13,340 広島県 18,164 |
山口県 8,827 徳島県 6,259 香川県 6,125 愛媛県 9,820 高知県 5,050 福岡県 29,526 佐賀県 4,876 長崎県 9,384 熊本県 12,344 大分県 8,318 宮崎県 6,394 鹿児島県 11,164 沖縄県 5,950 |
※ 第1~18回試験の合計
介護支援専門員実務研修受講試験に臨む上で欠かすことのできない教材のひとつとに『介護支援専門員基本テキスト』があります。
ケアマネージャー試験の出題範囲・試験内容は、この基本テキストを中心に構成されているので、基本的には本書さえマスターしていれば十分合格は狙えます。
しかし、そうは言っても、この基本テキストは全3巻、1,000ページ※を超えるボリュームがあり、かつ、要点もまとまった構成になっていないため、受験者の間では、いったいどこから手を付けたらよいのか分からない…といった声も少なくないようです。
※ 5訂版は全4巻でしたが、平成24年7月1日に発行された6訂版以降、全3巻(1巻あたり約400~500頁)となり、法令・通知分野はCD-ROMに収載されるようになりました。
そこで、基本テキストとは別に試験対策向けの参考書を用意し、基本テキストは辞書的に使うなど、補足的な使い方をした方が初学者には分かりやすいかもしれません。
ここ数年、本試験で出題される問題は、より実践的・実用的な問題が増えていることからも、従来の過去問中心の勉強から、理解力に重点をおいた勉強法に切り替えていく必要がありますが、大まかな学習パターンは、各分野の出題範囲をテキストで押えた後、過去問を含めた問題集に取り組むオーソドックスな勉強法が有効と考えます。