2006年(平成18年)に行われた介護保険法の改正により、新たに誕生した資格(職種)のひとつが主任介護支援専門員≠ナす。
主任介護支援専門員は、これからさらに重要度が増すであろうケアマネジャーの資質や専門性の向上を目的に創設された資格ですが主任≠ニいう名称が付くと付かないとでは、介護支援専門員として、いったいどのような差(違い)が出てくるのか、いまいちよくわからないといった方も少なくないようです。
研修期間 | 10日間前後 ※地域によって若干前後する |
研修時間 | 60〜70時間 ※地域によって異なる |
受講料 | 地域によって大幅に異なる ※無料 or 数万円かかる地域も… |
そこで、主任介護支援専門員とはいったいなんなのか? どのような役割が求められているのか…?
まずは、そのあたりの基本的な知識を理解しておくことが大切です。
主任介護支援専門員になるためには、所定の研修を受講しなければなりませんが、この研修目的は下記に示すような知識や技術を習得することにあります。
研修の目的 介護保険サービスや他の保健・医療・福祉サービスを提供する者との連絡調整、他の介護支援専門員に対する助言・指導などケアマネジメントが適切かつ円滑に提供されるために必要な業務に関する知識及び技術の修得 |
つまり、主任介護支援専門員とは、介護支援専門員として働いている大勢の人達を統括し、介護支援専門員同士のネットワークがスムーズに機能するよう、彼らをまとめあげるリーダー的な存在でなければならないわけですが、正直なところ、介護の現場で働いている者からすると、両者の境界線が分かりづらいというのが本音のようです。
しかし、主任介護支援専門員と主任ではない介護支援専門員との間には、主に次のような違いが見られます。
2006年度に行われた介護保険法改正によって新たに創設された地域包括支援センターには、主任介護支援専門員の配置が義務付けられている。 居宅介護支援費に関する特定事業所加算を取得する事業所にあっては、常勤かつ専従の介護支援専門員とは別に主任介護支援専門員を配置しなければならない。 |
したがって、あなたが働いている勤め先によっては、主任介護支援専門員の資格がないと困る場合も出てくるわけです。
介護支援専門員の資格さえ持っていれば、誰でも無条件で研修が受けられる…というものでもありません。
主任介護支援専門員研修を受講するには、次のような受講条件を満たしている者に限られている点に注意が必要です。
@ 専任の介護支援門員として従事た期間が通算して 5年(60ヶ月)以上である方(ただし、居宅介護支援事業所の管理者と兼務は期間として通算できる。) A ケアマネジメントリーダ養成研修了者又は認定ケアマネジャーであって、専任の介護支援専門員として 従事た期間が通算3年(36ヶ月)以上である方 (ただし、居宅介護支援事業所の管理者との兼務は期間して通算できる。) B 施行規則第140条の52第2号のハに規定する主任介護支援専門員に準ずる者として、現に地域包括支援センターに配置されている方 C 専任・兼を問わず介護支援門員として従事した期間が通算して5年(60ヶ月)以上であり、平成18年度以降に岐阜県知事指定研修機関が実施した研修指導者又は演習指導者を担当した方 D 専任・兼任を問わず常勤の介護支援門員として従事した期間が通算して3年(36ヶ月)以上であり、地域包括支援センター又は在宅介護支援センターでの経験を有し、新たに地域包括支援センターで主任介護支援専門員として配置が予定されている経験豊富な介護支援専門員であって、市町村が推薦する方 【茨岐阜県:平成26年度 主任介護支援専門員研修 開催要項より一部抜粋】
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※ 地域によって、若干、条件が変わってくることもあるので、必ず各自で確認してください。
なお、研修自体は10日程度(地域によって期間は若干前後するので、必ず各自で受講地域の研修日程を確認してください)の期間をかけて行われますが、全日程参加も要件のひとつとなっている点に注意が必要です。(つまり、1日でも欠席してしまうと主任介護支援専門員にはなれない!)
主任介護支援専門員の資格は取得すると何かいいことがあるのか・・・!?
研修の受講を考えている介護支援専門員にとって、そのあたりが気になるところではないでしょうか。
結論から言ってしまうと、地域包括支援センターや特定事業所加算を取得する一部の事業所にあっては、主任介護支援専門員の配置が義務付けられているので、なければないで困る資格ですが、資格取得者の大半は、これといって特に特別な恩恵を受けるに至っていないというのが現状のようです。
というのも、まず第一に介護支援専門員のリーダー的な存在でなければならない主任介護支援専門員は、解決困難な問題等にも対処しなければならない立場にあるにも関わらず、その労力に見合うだけの報酬が与えられていないといった現状が多々見られます。
また、研修を躊躇してしまう理由のひとつに受講料の問題が挙げられます。
下記に主な地域別の受講料をまとめてみましたが、原則、無料(最近は減っている…)のところもあれば、6万円もの費用を受講者に負担させている地域もあり、高い費用を払って、ただでさえ忙しい合間を縫って取りに行くだけの価値が本当にあるのかどうか疑問が残るといった不満の声も少なからず聞こえてくるのです。
\ | 受講料 | 募集人数 (予定) |
受講日数 (時間) |
青森 | 15,000円 | 200名 | 10日間 (64時間) |
神奈川 | 38,000円 | 300名 | 11日間 (??時間) |
静岡 | 50,000円 | 150名 | 11日間 (??時間) |
大阪 | 60,000円 | 500名 | 12日間 (??時間) |
大分 | 25,000円 | 85名 | 10日間 (64.5時間) |
長崎 | 10,000円 | 160名 | 9日間 (64時間) |
三重 | 30,000円 | 70名 | 10日間 (64時間) |
※ 受講料にはテキスト代が含まれていないところがあるので要注意!
介護に関する問題は、法制度も含め、毎年のように変動しているので、良い悪いは別として、今後、この主任介護支援専門員の立場も変わってくるかと思われますが、現時点においては、主任介護支援専門員の資格を取る取らないの決断は、あなた自身が勤めている職場環境などを総合的に考慮して取得の有無を判断する必要がありそうです。
ただし、この手の研修は、年を追うごとに研修科目や内容が難しくなる傾向があるので、主任介護支援専門員研修の受講条件を満たしているのであれば、取りやすい今のうちに取っておくのも一法かもしれません。