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ケアマネージャーの基礎知識

ケアマネージャーの資格についてprogram

ケアマネージャーは国家試験なのか?

介護福祉士や社会福祉士といった介護関連資格が国家試験≠ナあることから、ケアマネージャー国家試験だと思い込んでいる人は意外と多いようです。



また、最近は資格自体が注目され始め、広く知られるようになったため、だいぶ減りましたが、関連サイトや雑誌などで、ケアマネージャーが国家資格であるかのように表記されているものも見られたことから、国家試験であるかのような気がしてしまうのも仕方のないことかもしれません。

国家資格?

しかし、結論から言ってしまうと、ケアマネージャー試験は国家試験ではありません!

つまり、今のところ、都道府県が実施する運びとなっている公的資格に属する資格試験であると理解しておきましょう。

※ ただし、これから、ますます重要度が増すであろうケアマネージャーのような専門色の強い資格は国家資格に繰上げ、資格取得者を保護した方がよい!との意見もあり、今後、国家資格に移行する可能性が全くないわけではありません。
国家資格と公的資格の違い
ひと口に資格試験といっても、大別すると大きく3つに分類することができます。

特徴 実施機関格 主な資格
国家資格 その資格を取得していなければ職業を営むことができない(独占業務)ものが多い。そのため、社会的信用度は高いが、公的資格等に比べると試験は難しい傾向にある。 国の法律に基づいて国や、国から委託を受けた機関が実施
介護福祉士、社会福祉士、社会保険労務
公的資格 専門的な知識やスキルに絞ったものが多く、国家資格よりも取得が難しい難易度の高い資格も中にはある。また、職種によっては国家資格よりも優遇されることも…。 主に省庁が認定した審査基準を基に、公的な性格を持った民間団体や財団法人等が主催 ケアマネジャー、簿記検定、色彩検定
民間資格 ある特定分野の就職に有利な資格もあるが、一般的にみると社会的信用度はそれほど高くはない。法律上の規制がないため、最近はユニークな資格も増えている。 特定の民間団体や企業が、独自の審査基準を設けて認定 サービス介護士、映画検定、時刻表検定

そして、上記表で注目すべき点は実施機関です。

国家試験である介護福祉士や社会福祉士は「国の法律に基づいて国や国から委託を受けた機関が実施」すると規定されています。

社会福祉士及び介護福祉士法

社会福祉士試験は、毎年1回以上、厚生労働大臣が行う。

【第6条(社会福祉士試験の実施)より抜粋】


厚生労働大臣は、厚生労働省令で定めるところにより、その指定する者に、介護福祉士試験の実施に関する事務を行わせることができる。

【第41条(指定試験機関の指定等)より抜粋】

一法、公的資格の方はというと「主に省庁が認定した審査基準を基に、公的な性格を持った民間団体や財団法人等が主催」すると規定されています。

つまり、都道府県知事が主体となって試験を実施するケアマネージャー試験は国家試験でないことがわかります。

介護保険法

厚生労働省令で定める実務の経験を有する者であって、都道府県知事が厚生労働省令で定めるところにより行う試験に合格し、かつ、都道府県知事が厚生労働省令で定めるところにより行う研修の課程を修了したものは、厚生労働省令で定めるところにより、当該都道府県知事の登録を受けることができる……

【第69条の2(介護支援専門員の登録)より抜粋】

ケアマネージャーは独学に適した試験?

前項でも説明したように、ケアマネージャー試験は専門色の強い資格試験ですが、国家試験ではないため、試験自体のレベルはそれほど高くありません。

また、本試験においても、実技試験や論文はなく、ほぼ全ての都道府県で選択制のマークシート方式が採用されているため、受けやすい試験であることは間違いないので、独学で受験される方も少なくないようです。

しかし、受験資格(一定期間の実務経験が必要)の性質上、どうしても仕事をしながらの受験者が多くなってしまうので、仕事と勉強の両立がうまくできそうにない…といった不安を抱えている方が多いのも事実です。

介護支援専門員証

そのため、いかに試験で狙われやすい論点を重点的に学習するかが合否を左右するポイントになってくるので、近年の出題傾向や最新の試験情報を自ら分析・入手しながらの勉強は時間的にも厳しいという方は、専門講座等を利用しながら短期間で学べる勉強法に切り替えるのも一法かもしれません。

※ ケアマネージャー試験で学習することになる法制度は毎年のように改正されるので、常に最新の情報に目を光らせておく必要があります。
試験対策に欠かせない基本テキスト
ケアマネージャーの試験対策を行う上で欠かすことのできない必須教材のひとつとが『介護支援専門員基本テキスト』です。

ケアマネージャー試験の出題範囲・試験内容は、この基本テキストを中心に構成されているので、極端な話し、基本テキストさえ完璧に理解しマスターしていれば、十分合格が狙えます。

しかし、そうは言っても、この基本テキストは、全3巻、1,300ページ(6訂以降、これまで書籍として発行されていた法令・通知分野はCD-ROMに収録)を超えるボリュームがあり、かつ、要点もまとまった構成になっていないため、受験者の間では、いったいどこから手を付けたらよいのか分からないといった声も少なくありません。

そこで、基本テキストとは別に試験対策向けの参考書を用意し、基本テキストは辞書的に使うなど、補足的な使い方をした方が初学者には分かりやすいでしょう。

ここ数年、本試験で出題される問題は、より実践的・実用的な問題が増えていることからも、従来の過去問中心の勉強から、理解力に重点をおいた勉強法に切り替えていく必要がありますが、大まかな学習パターンは、各分野の出題範囲をテキストで押えた後、過去問を含めた問題集に取り組むオーソドックスな勉強法が有効と考えます。


豆知識:ケアマネージャー試験を難しくさせている一要因とは?

ケアマネージャー試験は、ほぼ全ての都道府県でマークシート方式を採用しているので、記述式や論文形式の問題が出題される試験を苦手とする受験者にとっては、比較的受けやすい試験制度です。

しかし、ケアマネージャー試験の出題形式は宅建試験のような単なる択一問題ではなく、下記例題のように複択解答(5つの選択肢の中から正しいものを3つ選べ…等)が求められている点に大きな特徴があります。


矢印
在宅医療について、より適切なものはどれか。2つ選べ。

1.人工呼吸器を装着している場合には、外出はできないため、社会参加は考慮しなくてもよい。

2.在宅酸素療法を実施している場合には、酸素濃縮器にはバッテリーが内蔵されているので、2日間程度なら停電になっても問題はない。

3.パルスオキシメータの測定値は、貧血、末梢循環不全、あるいは濃いマニキュアを爪に塗っている場合には、正確な数値を示さないことがある。

4.在宅で持続点滴をしている場合であっても、訪問入浴介護を利用することができる。

5.胃ろうからの経管栄養を受けている者が下痢になった場合には,消化吸収を速やかに行う必要があるため、注入速度を速くする。


そのため、受験者には、択一問題以上に幅広い知識と正確な知識がなければ正解に辿り着けない恐れもあり、この解答方式が、ケアマネージャー試験の難易度を上げている要因のひとつと考えられます。

そこで、日頃から練習問題や演習問題を解いた後には、正解したからその問題は大丈夫!と安心するのではなく、他の選択肢のどの部分に問題があり間違っているのかをチェックすることが大切です。

※ 選択肢に出てくるような論点は、たいてい本試験で狙われやすい重要な論点であると思って間違いありません。そういう意味でも、他の選択肢内容をチェックすることは非常に重要であり、効率的に学習することができます。

解答
3,4