ケアマネージャーの受験資格を知る前に、ケアマネージャーとはいったい何者なのかについてザッとまとめておきましょう。
ケアマネージャーとは、2000年4月に施行された『介護保険法』によって定められた国家資格のひとつで、その正式名称は介護支援専門員≠ナす。
ケアマネージャーは、専門性と幅広い知識を兼ね備えた介護サービスのプロとして、要介護者の認定を受けた高齢者や障害者等からの相談に応じ、適切なケアプランを作成する重要な役割を担っています。
業務1:介護支援に関するもの アセスメントに基づいた適切な介護サービスプランの作成 各事業者や介護保険施設等との連絡調整 …など 業務2:要介護認定に関するもの 要介護認定のために必要な申請代行 / 訪問調査 …など 業務3:給付管理に関するもの 介護保険費用の計算 / 請求事務 介護保険支給限度額の上限管理 …など |
試験に合格さえすれば、ケアマネージャーになれる!といった単純な国家資格ではありません。
ケアマネージャーとして働くためには、試験の他にも研修や手続が必要なので、その一連の流れについて簡単なチャート図を示しておきます。
受験資格の有無を確認 介護支援専門員実務研修受講試験 実務研修 ケアマネージャーとして登録 介護支援専門員証の交付申請 |
今後、ますます高齢社会を迎える日本では、介護・福祉に関するサービス業務の重要性が、日々、高まっています。
介護保険制度は複雑な仕組みになっており、ケアマネージャーのような高い専門性と幅広い知識を兼ね備えた専門職にある者は、医療・福祉の現場においても高く評価されていることから、転職や就職の際には、それなりに有利に働くことが考えられます。
また、介護保険制度により、一定規模の居宅介護支援事業者は、ケアマネージャーの設置が義務付けられていることからも、将来的に安定した収入が期待できる資格のひとつなのかもしれません。
ケアマネージャーになるには、都道府県知事が行う介護支援専門員実務研修受講試験の受験が不可欠ですが、この試験には受験資格≠ェあります。
したがって、試験間際になって「自分には受験資格がなかった…!」ということがないよう、必ず前もって受験資格を確認しておいてください。
ケアマネージャーの受験資格は「一定の資格や実務経験※」が条件となっていますが、各条件の詳細については下記表のとおりです。
※ 実務経験とは、在職期間が5年以上、かつ当該業務に従事した勤務日数が900日以上のことを指します。なお、勤務形態(常勤・非常勤など)や1日の勤務時間数は問いません。
T.以下にあげる国家資格を取得している実務経験5年以上を有する者
U.以下の相談援助業務のいずれかに従事する者 ア:施設等において必置とされている相談援助業務に従事する者 イ:法律に定められた相談援助業務に従事する者 ウ:その他の相談援助業務に従事し、以下の(ア)〜(エ)までの要件のうち、いずれかを満たす者 (ア)社会福祉主事任用資格を取得したこと (イ)介護職員基礎研修課程若しくは訪問介護員養成研修2級課程又はこれに相当する研修(社会福祉施設長資格認定講習会等)を修了したこと (ウ)上記Tに掲げる資格を取得したこと (エ)上記Uのア又はイに掲げる相談援助業務従事者として1年以上勤務したこと V.上記U ウの(ア)〜(エ)までの要件のうち、いずれかを満たす者であって、下記に掲げる介護等の業務に従事する者 以下の@〜Cの要件のいずれかを満たし、下記の表の職としての実務経験が5年以上の者または@〜Cの要件を満たさずに、実務経験が10年以上の者。 @社会福祉主事任用資格を有する者 A介護職員基礎研修課程を修了した者若しくは訪問介護員養成研修2級課程に相当する研修を修了した者 BTの対象国家資格等を取得した者 CUの相談援助業務従事者として1年以上勤務した者 W.上記【T】〜【V】の要件に該当しない無資格者であっても、介護等の業務※に従事する者で、10年以上(かつ、1,800日以上)の実務経験を有する者。 ※ 老人福祉施設、身体障害者施設、デイサービス事業 …など |
ちなみに、ケアマネージャー試験の受験資格や、実務経験期間の対象となる職種については詳細な規定が定められています。
そのため、自分の働いている職場が受験資格に該当するのかどうか不安な方は、各都道府県へ問い合わせるなどして確認をして下さい。
なお、制度改正の時期は未定(2014年末)ですが、近々、ケアマネージャー試験の受験資格が見直される動きがあります。
具体的には、保健・医療・福祉に係る法定資格保有者に限定して受験資格を認めるといった内容のもので、この検討案が実施された場合、かなり大きな変化となるので、これまで以上に受験資格条件が厳しくなることが予想されます。
厚労省が公表しているケアマネ試験の合格率は、年々、下降傾向にあり、試験難易度がアップしているように見えなくもありません。
\ | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
H21 | 140,277 | 33,119 | 23.6% |
H22 | 139,959 | 28,703 | 20.5% |
H23 | 145,529 | 22,329 | 15.3% |
H24 | 146,586 | 27,905 | 19.0% |
H25 | 144,397 | 22,322 | 15.5% |
H26 | 174,974 | 33,535 | 19.2% |
ケアマネになるには、試験よりも、その道のりの方が苦労(試験合格後に行われる実務研修の方が大変だと感じる人も多いようです)するとよく言われますが、試験に合格しなければ、当然、ケアマネにはなれません。
そのため、試験範囲の広いケアマネ試験においては、ポイントを押えた対策を立て本番に臨む必要がありそうです。
T.介護支援分野(25問) ・介護保険制度の基礎知識 ・要介護認定等の基礎知識 ・居宅/施設サービス計画基礎知識 等 U.保健医療分野(20問) ・保健医療サービスの知識等[基礎] ・保健医療サービスの知識等[総合] V.福祉サービス分野(15問) ・福祉サービスの知識 等 ※ 保健・医療・福祉関係の有資格者には、所有する資格の種類により試験科目の一部免除制度がありますが、制度見直し後はこの免除制度が廃止される予定です。 |