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デイケアとデイサービス

デイケアとデイサービスの違いについてprogram

介護保険法に基づく介護サービスの種類は複数ありますが、ざっくり分けると「居宅」「施設」「居宅+施設」の3タイプに分類することができます。

「居宅」とは、文字通り、自宅にいながら利用できる介護サービスのことで、「施設」も、これまた文字通り、老人ホームなどの福祉施設に入居して生活するサービスのことです。

また、「居宅+施設」というものもありますが、このタイプは自宅でのケアを基本としながらも、利用者の状態に応じて、短期間の宿泊を認める、いわば組み合わせ型のサービスです。

では、介護サービスのひとつであるデイケア≠ニデイサービス≠ニはいったいなんでしょう。

一見、どちらもたいして違いはなさそうに見えますが、実は似て非なるもので、明確な違いがあります。

そこで、デイケアとデイサービスの違いはどこにあるのか、内容を比較しながら、その違いについて分かりやすく解説します。


デイケアとは…

世間では、デイケアという言葉の方が一般的に浸透していますが、実は介護保険法にデイケア≠ニいう言葉はありません。

デイケアとは、あくまで略称であり、その正式名称は通所リハビリテーション≠ニなります。

8:この法律において「通所リハビリテーション」とは、居宅要介護者(主治の医師がその治療の必要の程度につき厚生労働省令で定める基準に適合していると認めたものに限る。)について、介護老人保健施設、病院、診療所その他の厚生労働省令で定める施設に通わせ、当該施設において、その心身の機能の維持回復を図り、日常生活の自立を助けるために行われる理学療法、作業療法その他必要なリハビリテーションをいう。

【介護保険法 第8条より一部抜粋】

この名称からも分かるように、デイケアとは、専門施設(介護老人保健施設や病院、診療所など)に通いながら(通所)、衰えた機能を回復し、日常生活をできるだけ自分で行えるよう訓練(リハビリテーション)することを目的とした介護サービスのことです。

しかし、この説明では不十分なので、もう少し突っ込んだ話をしておきましょう。

リハビリイメージ

そもそも、リハビリテーションとはいったい何なのか?というと、病気や怪我などによって歩行や関節の曲げ伸ばし、あるいは言語、聴覚などに後遺症が残った方の身体機能を回復させるための訓練・・・と言えば分かりやすいかもしれませんが、実はリハビリテーションには、とても広い意味があり、必ずしも身体≠ノ限った回復を目的とした訓練というわけではありません。

以前は、確かに機能回復訓練が重視される介護サービスでしたが、近年は、個々の患者にあった無理なく続けられる生活能力を身に付け、よりよい人生を送るためのサポート全般をひっくるめてリハビリテーションという考え方が広まりつつあるようです。

そのため、デイケア利用者にとってベストと思われる活動は、すべてリハビリテーションの一環にあたると理解しておくと良いかもしれません。

リハビリ:歩行訓練イメージ

では、具体的にどんなリハビリが行われるのかについてですが、これは利用者の心身の状態に応じて、その内容が変わってきます。

医師の指導にもとに行われるリハビリは、通常、リハビリ分野に精通した専門家が、直接、指導にあたりますが、その分野をざっくり分類すると理学療法、作業療法、言語聴覚療法の3つに分けることができます。

各療法を担当するリハビリの概要については、下記にまとめておきますが、デイケアは、主治医の指示に基づき、これらの資格を持った専門家が中心となって、看護スタッフなどの協力を得ながら、チームでリハビリにあたることになります。
代表的なリハビリ専門職の資格

理学療法 担当職種:理学療法士(PT)
病気や怪我による後遺症、高齢等による運動機能が低下した者に対し、日常生活に欠かせない基本動作(立つ、歩く、座る、起きるなど)の維持・改善を目的とした治療法。具体的には運動や電気、水、熱、光線などの物理的な手段を用いる。
作業療法 担当職種:作業療法士(OT)
日常生活に欠かせない食事や入浴、トイレなどの行為ができるようになるための機能回復のサポートを目的とした治療法。具体的には作業(料理、掃除、手芸、読み書き、計算など)などを通して、手先のスムーズな動きや体力、筋力をつけたり、物事を考える力などつけるための訓練が行われる。
言語聴覚
療法
担当職種:言語聴覚士(ST)
言語、聴覚、発音、発声などの言葉を使ったコミュニケーション機能(うまく噛めない、呑み込めない当の嚥下障害も含む)に問題がある場合に、その原因の本質や対処法を見つけ、必要に応じて訓練やアドバイスしながら、言語能力をはじめとした機能回復を試みる治療法。具体気には、口を動かすための筋力トレーニングや補聴器、点字器などを使った練習などが行われる。

※ 患者の状態によっては複数のリハビリが必要になってくるため、各専門職との連携によるチーム医療が重要。
まとめ

チェック医師が配置されているような医療系の専門施設に通う介護サービス!

チェック主に生活機能を回復させるための訓練(リハビリ)が中心!

デイサービスとは…

一方、デイサービスとは、介護保険法でいうところの通所介護≠ノ該当します。

7:この法律において「通所介護」とは、居宅要介護者について、老人福祉法第五条の二第三項 の厚生労働省令で定める施設又は同法第二十条の二の二 に規定する老人デイサービスセンターに通わせ、当該施設において入浴、排せつ、食事等の介護その他の日常生活上の世話であって厚生労働省令で定めるもの及び機能訓練を行うこと(認知症対応型通所介護に該当するものを除く。)をいう。

【介護保険法 第8条より一部抜粋】

施設に通う(通所)という点ではデイケアと同じですが、その利用施設や目的(介護サービスの内容)が大きく異なってきます。

デイサービス利用者が通う施設とは、主に老人ホームやデイサービスセンターなどの福祉施設であって、どちらかというと医療という色合い濃い病院や診療所などの専門施設は利用しません。

入浴サービスイメージ

したがって、施設が違えば、自ずと提供されるサービス内容も変わってくるわけで、医師やリハビリ専門職の人員を多く配置している医療系施設に比べ、どちらかというと指導員的(看護、生活指導員、各種訓練指導員など)な立場の人員を多く抱えているデイサービス対象の福祉施設では、主に食事や入浴、レクリエーションなどの日常生活全般のケアが重視される介護サービスが提供されます。

つまり、デイサービスとは、デイケアほどリハビリが重視されているわけではないということができるかもしれません(デイサービスにも、利用者の状態に応じて機能回復訓練は行われますが、デイケアほどではない)。
まとめ

チェック福祉系の専門施設に通う介護サービス!
チェックリハビリというよりも、日常生活全般のケア!


比較表:デイケアとデイサービスの違い

以上、デイケアとデイサービスについて説明してきましたが、ここでさらに両介護サービスの共通点と相違点について一目で分かるよう表にまとめてみたので、上記の解説を読むのが面倒だという方は、こちらの表を少し参考にしてみてください。

デイケア デイサービス
正式名称 通所介護 通所リハビリテーション
内容 主にリハビリを中心とした訓練による回復(改善)が目的のサービス 食事や入浴、レクリエーションなどによる日常生活全般のケア
対象者 「要介護1〜5」「要支援1〜2」の認定を受けた者
主施設 病院
診療所
介護老人保健施設など
特別養護老人ホーム
その他、NPO、社会福祉法人、株式会社等が運営
施設基準 主にリハビリに必要な専門機械や器具を備えた専用室など 食堂、相談室、静養室、事務室など
人員基準 医師
看護師(准看護師)
看護職員(理学療法士、作業療法士、言語聴覚士など)
介護職員 など
看護師(准看護師)
介護職員
生活指導員
機能訓練指導員 など