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歩行器の種類

歩行時の負担を軽減(あるいはバランス補助)する福祉用具の代表格といえば〝杖〟ですが、この杖よりもしっかりと着地面(地面)をとらえることができる安定性のある福祉用具が〝歩行器〟です。

現在、福祉用具として販売されている歩行器は、製品ごとに様々な特徴がみられますが、大別すると次に示すような3タイプに分類することができます。
歩行器の種類
固定型歩行器 交互型歩行器 キャスター付き歩行器
(前輪型 / 四輪型)
歩行器のグリップをしっかりと握り、両手で持ち上げると同時にやや前方に移動させ、その移動させた歩行器に体重を乗せながら、一歩一歩進んでいくタイプ 左右のフレームが交互に平行に可動するため、グリップを握ったら左右のフレームを交互に持ち上げ、片方ずつ前方に移動させながら、一歩一歩進んでいくタイプ 車輪の回転運動を利用し、フレームを持ち上げることなく、前方に押し出すようにして進んでいくタイプ
固定タイプ 交互タイプ キャスター付き




タイプ別にみる歩行器の特徴

先に説明したとおり、ひと口に〝歩行器〟といっても、様々なタイプの製品があります。

歩行器は多脚であることから、杖などに比べると安定性の高い福祉用具といえますが、使用者の身体状況や使用目的によっては、かえってマイナスに働くこともあるので注意が必要です。

そこで、タイプ別にみた歩行器の特徴をザッとまとめておくので、歩行器の利用を検討されている方は少し参考にしてみてください。
固定型歩行器の利点と欠点
アルミやスチール、金属製のパイプをコの字型に組み合わせた歩行器。

地面と脚との接地面が動かないため、体重をしっかりと支えることができ、歩行時の安定性は高い。

また、歩行器自体を直接持ち上げて移動するため、他のタイプの歩行器に比べると多少の段差は問題なく、立位保持のリハビリ訓練にも利用できるものが多い。

一方、左右のフレームに設けられたグリップを握り、歩行器を両手で持ち上げなければならないため、各メーカーともに材質などを工夫し軽量化を図ってはいるものの、使用者自身に歩行器(製品にもよるが3kg前後)を持ち上げるだけの腕力が求められる。

また、キャスター付き歩行器に比べると、使い方にある程度慣れが必要。
歩行の仕方1
交互型歩行器の利点と欠点
左右のフレームを交互に持ち上げながら進むことから、固定型歩行器ほどの腕力を必要とせず、左右どちらかの足が絶えず地面に接しているため、足元が覚束ない方にも有効。

また、左右のフレームの連結部が菱形にズレる構造をとっているため、他のタイプの歩行器に比べると狭い通路の移動手段にも、比較的、適している。

一方、左右のフレームを交互に持ち上げ、片方ずつ前方に移動させながら、一歩一歩進んでいくため、使いこなすための訓練が必要であり、ある程度、バランス感覚も求められる。
歩行の仕方2
キャスター付き歩行器の利点と欠点
車輪の回転運動を利用しながら進むため、他のタイプの歩行器に比べると移動速度が速く、屋外での利用に適している。

※ 四輪式歩行器の中には肘掛部分にクッションをあてがい、前腕を乗せたまま移動できるタイプの製品もあり、より楽に歩行することが出来るが、このタイプの歩行器は製品自体が重く、より広いスペース(通路幅)を必要するものが多い。

また、上肢の筋力が弱く、歩行器を持ち上げるだけの腕力がない方に適しており、歩行器を持ち上げたり動かしたりする必要もないことから、操作自体が単純。

一方、滑りがよい分、バランスが崩れやすいため、歩行器だけ前に進みすぎてしまうと転倒の恐れがあるというデメリットがある。