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脳血管性痴呆ってどんな病気?

痴呆症とは、一度は正常に発達した脳の機能(記憶力、認識力、判断力、言語能力、注意力…など)が、社会生活に支障をきたすほど、著しく低下してしまった状態のことをいいます。

現在、日本国内では〝痴呆〟という漢字のもつ意味が相応しくない(差別的)として、2004年12月以降〝認知症〟という言葉に変更されましたが、呼び方が変わってしまったことで、かえって混乱されている方もいるようです。

そこで、ここではあえて〝痴呆〟という呼び方で統一し、脳血管性痴呆について話を進めていくことにしましょう。
脳血管性痴呆とは…
脳血管性痴呆とは、文字通り脳にある血管の異常が引き金となって起こる病気のひとつです。

脳血管性痴呆イメージつまり、もう少し分かりやすく説明すると、脳にある血管が何らかの異常で詰まったり破れてしまったために、血液の流れがそこでストップしてしまい、脳内の神経細胞に酸素や栄養がうまく行き渡らなくなった結果、日常生活に支障をきたすような言動や行動が見られる状態へと進んでしまう症状のことです。
血管異常を引き起こす主な原因
脳梗塞 脳内の血管を詰まらせる病気のひとつ。血栓と呼ばれる血の固まりが脳動脈内の内腔を詰まらせ血液の循環を途絶えさせる〝脳血栓〟と脳とは別の場所(首/心臓 等)にできた血栓の一部が回りまわって脳内に流れ込み、血管を詰まらせる〝脳塞栓〟とに分けることができる。
脳出血 血管が破れ出血することにより、周辺部の脳神経細胞が破壊(壊死)されてしまう病気。脳出血の約70%は高血圧が原因で起こると考えられている。

脳血管性痴呆症とアルツハイマー型痴呆症との違いを知ろう!

痴呆症を引き起こす原因疾患は、脳以外の疾患も含めると、100種類以上にものぼるといわれていますが、痴呆症患者全体の7~8割は〝アルツハイマー型痴呆〟と〝脳血管型痴呆〟の2タイプが占めます。

かつて、日本国内では脳血管性痴呆がアルツハイマー型痴呆を上回っていた時期(20年程前)もありましたが、現在はアルツハイマー型痴呆が、脳血管性痴呆を遥かに上回っており、全体の5~6割を占めていると考えられています。

認知症の原因疾患※ 立場が逆転してしまった背景には、脳血管性痴呆が予防に努めることで、ある程度防ぐことが可能なため、庶民の関心が高まったこと、内科的治療の進歩により、痴呆の引き金となる病気(脳梗塞や脳出血など)の再発防止策が立てやすくなったことなどが挙げられます。

では、痴呆患者の大半を占めているアルツハイマー型痴呆と脳血管性痴呆とでは、いったいどのような違いが見られるのか・・・必ず当てはまるというわけではありませんが、2大原因の特徴について、ザッと比較してみることにしましょう。
アルツハイマー型痴呆と脳血管性痴呆の比較
アルツハイマー型痴呆症 脳血管性痴呆症
発症年齢 75歳以上に多い 50~60歳以上に多い
性別 どちらかというと女性に多い
※ ただし、女性の方が平均寿命が長いからという指摘もある…
どちらかというと男性に多い
進行状況 比較的ゆっくりとなだらかに進行する 良くなったり悪くなったりしながら段階的に進行する
神経症候 末期を除くと、ほとんどみられない 初期段階から手足のしびれや麻痺など、部分的な症候が見られる
持病との
関連性
少ない 高血圧、高脂質血症、糖尿病患者等に多い
自覚症状 ほとんどない 初期段階に頭痛やめまい、しびれ、抗うつ感が現れることも…
人柄 変わる人も多い ある程度保たれる
治療効果 根本的な治療はまだ確立されていないが、症状を抑制(緩和)する薬などはある 血管障害を引き起こしている原因を解決(治療)することで進行を抑制することは可能
以上のように、2大原因の間には年齢や神経症候などで違いが出てくるケースも多々見られますが、脳血管の損傷部位(特に初期過程)によっては、両者の判別が難しいケースも少なくないようです。

したがって、痴呆の疑わしい症状が現れた場合は、画像診断などを使ったより正確な診断を下せる専門病院に、一度足を運び相談することをお勧めします。

では最後に、参考までに痴呆の疑わしい被験者に行われる代表的な検査方法をいくつか紹介しておきましょう。

※ 問診や診察、対面式の知能検査(MMSE/長谷川式簡易知能評価スケール等)を行った結果、痴呆症の疑いがあると判断された場合は、次のような医療機器を用いて、脳自体の検査を行い、病気の原因等を突き止めるのが一般的です。
病院で行う主な画像検査
CT検査 エックス線を使って脳を輪切りして撮影し、画像化する検査方法。患者の脳がどのくらい委縮(縮む)しているかを把握することができる。また、脳腫瘍や脳梗塞などの有無を検査することも可能(脳腫瘍などが原因で記憶障害を起こしているケースもある)。
MRI検査 核磁気共鳴映像法。CT検査とは異なり、放射線を使わない検査方法。人体の磁気共鳴作用を利用して、縦、横、輪切りによる撮影が可能なことから脳を三次元的に分析することができるため、CT検査の上を行く検査方法と言われている。主に脳腫瘍や動脈硬化などの発見に有効な検査方法。
PET検査 アルツハイマー病患者の脳は、神経細胞が委縮しブドウ糖の消費が減るため、その働きを調べることのできる検査方法がPET検査。撮影した画像で、青色に表示された部分は脳の活動低下(赤色は脳の活動が活発であることを示している)を示しているため、比較的初期段階のアルツハイマー病を発見する検査方法として有効だと考えられている。
SPECT検査 脳の血流状態を画像で見ることのできる検査方法。 アルツハイマー型痴呆症患者の脳は、頭頂葉内側の楔前部などで血流の減少が見られることから血流の減少部位を確認するために利用される。







痴呆症:豆知識

知らないと怖い無症候性脳梗塞とは?

脳血管性痴呆は脳梗塞や脳出血などの血管障害が引き金となって起こる病気ですが、その引き金となっている脳梗塞のうち、本人が自覚していない脳梗塞のことを〝無症候性脳梗塞〟と呼びます。

つまり、病院の検査(CT検査/MRI検査など)を受けた際、偶然発見されるような脳梗塞のことです。

ある報告によると50代以降の方がMRI検査を受けた場合、次のような結果を示すとも言われており、年齢とともに無症候性脳梗塞のリスクは高まる傾向にあるようです。
50代 … 3人に1人
60代 … 2人に1人
70代 … ほぼ全員
脳血管性痴呆は、本人が気付かない程度の小さな脳梗塞が繰り返し起こることで知らず知らずのうちに痴呆症状を悪化させていることもあるので、ある程度年齢を重ねた方は、定期的に検査を受け、痴呆予防を心がけることをおススメします。

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