認知症ケア専門士の資格を取得するには、日本認知症ケア学会主催の認定試験に合格しなければなりませんが、この試験を受けるには、決して安いとは言えない受験料【右記:受験料に関する資料参考】を支払わなければなりません。 そのため、はじめから試験が難しいと分かっていれば、軽はずみに受験しなかった(あるいは、試験対策を万全にしてから臨むべきだった)と言う人も中にはいることでしょう。 認知所ケア専門士は、2005年にスタートした、比較的まだ新しい認定資格ですが、試験回数もそれなりに重ねてきたので、これまでの受験者データを基に、ある程度分析することは可能です。 そこで、認知症ケア専門士認定試験の難易度を把握するのに役立ちそうな資料が、公式サイトでも公表されている過去の試験合格率です。
しかし、50%を優に超える高い数値を示す年度もあり、計算上では、毎年、概ね2人に1人は合格を手にしているようです【参考:過去11回分の平均値は51.8%】。 したがって、これまでの合格率推移状況を基に推測すると、認知症ケア専門士認定試験は決して難易度の高い狭き門というレベルの試験ではないことが窺えます。 認知症ケア専門士認定試験の1次試験は、4分野(① 認知症ケアの基礎 ② 認知症ケアの実際Ⅰ:総論 ③ 認知症ケアの実際Ⅱ:各論 ④ 認知症ケアにおける社会資源)に分かれ、各分野で50問(計200問)ずつ出題されます。 試験時間は各分野60分なので、1問あたりに割ける時間は〝1分12秒〟程になりますが、見直し時間等を考慮すると、できれば1分以内で解きたいところです。 そのため、人によっては、あまり考える時間がないじゃないか!と不安に思われる方もいるかもしれませんが、試験自体は5者択一のマーク式で解答用紙の記入に手間取ることはないはずです。 また、これまでのところ、出題問題自体も素直な問題が多く、ひっかけ問題等は少ないと言われている(ただし、細かい知識が問われることはある)ことから、出題範囲にもなっている認知症ケア標準テキスト(4巻)を一通り勉強しておけば、独学でも合格ラインである70%以上の得点(35点※)を取ることは十分可能だと思われます。 ※ 総得点(200点満点)ではなく、各分野(50点満点)において70%以上の得点が必要! ただ、認知症ケア専門士認定試験は、他の資格試験のように、過去問に触れる機会が極めて少ない(現在のところ、市販の過去問題集はなく、日本認知症ケア学会主催の受験対策講座などでしかお目にかかる機会はない)ため、テキストだけではいったい何から手をつけたらよいのかわからないという点で、受験者泣かせの一面も垣間見られます。 ※ 最近は試験対策向けの問題集なども徐々に増えつつあるようですが… 認知症ケア専門士1次試験をパスした者に限り受験資格がある2次試験では論文と面接が待ち構えています。 論文については、認定委員会から出題される事例(1次試験合格者宛てに論述問題が郵送されてくる)について、指定の論述用紙に自分の意見を記述し、2次試験の申請書類と合わせて指定された期日の間に提出することになりますが、面接は試験当日6人1組のグループが作られ、試験会場に入る前にテーマが与えられるので、そのテーマを基に自分の考えをまとめ、各人の1分間スピーチが行われた後、グルーブディスカッション(討議)へと移行するようです。 2次試験対策に関するテキストや市販問題集は限られていますが、面接で出題されるテーマは、普段から認知症患者と接している者であれば、たいてい答えられるような内容になっているので、それほど心配する必要はありませんが、出題されるテーマは各グループごとに異なってくるようなので、中には討議しにくいテーマもあると言った声もちらほら聞こえてきます。 ただし、2次試験は1次試験に比べ合格率(90%前後)も高いようで、よほどのこと(出題されたテーマとあまりにもかけ離れた主張 / 人の意見を聞かず1人でしゃべり続けている / ディスカッションなのに一言も発言しない…など)がない限り、2次試験で落とされるようなことはないようです。
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