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コレだけは押える!認知症高齢者の日常生活自立度【基礎知識】

実際の医療や介護現場で広く使われている認知症の有無や重症度を把握するための評価スケールは、長谷川式簡易知能評価スケールをはじめ、いくつか知られていますが、厚生労働省が関与している指標のひとつに〝認知症高齢者の日常生活自立度〟というものがあります。

そこで、コレだけは押えておきたい「認知症高齢者の日常生活自立度」の基礎知識についてまとめておきましょう。

主な評価スケール
チェック認知症高齢者の日常生活自立度
チェック長谷川式簡易知能評価スケール(HDS-R)
チェックMMSE(ミニメンタル・ステート)
チェックN式老年者用精神状態尺度(NMスケール)
チェック臨床認知症評価尺度(CDR)
チェックアルツハイマー型認知症行動尺度(BEHAVE-AD)
認知症高齢者の日常生活自立度の使用目的
ひとくちに認知症と言っても、その症状は様々であり、個々の患者によってケア関係者がサポートする内容は変わってきます。




そこで、保険・医療・福祉等の現場で働く関係者が、認知症高齢者の日常生活における自立度を客観的、かつ、短時間で判断できるようにと厚労省が平成5年に作成した指標のひとつが、「認知症高齢者の日常生活自立度」です。

※ 平成18年4月に判定基準の一部改正を行っています。

なお、厚生労働省老健局老人保健課長通知が、各都道府県の介護保険担当課に届いたことで、介護保険制度における要介護認定は、この認知症高齢者の日常生活自立度の判定結果が、一次判定や二次判定の際の参考(判断)材料のひとつとして利用されています。
申請
矢印
・訪問調査
・主治医の意見書
矢印
《1次判定》

コンピュータによる
集計処理
矢印
《2次判定》

介護認定審査会による最終判定
(介護の必要度が決まる)
矢印
通知
判定基準の問題点(欠点)
認知症高齢者の日常生活自立度」は、大きく5段階(Ⅰ/Ⅱ/Ⅲ/Ⅳ/M)にランク分けされていることから、調査対象者の症状や行動(あるいは家族からの情報も参考)に着目しながら、各ランクに設けられた基準(詳細については事項で説明)を基に判定していくことになりますが、その判定基準が分りにくく、家族からの情報提供量や検査する側の捉え方次第で評価結果にばらつきがでてしまう・・・最新の見識が反映されていない・・・といった指摘もあるようです。

また、この判定基準によりランク付けされた患者さんであっても、環境の変化(自宅介護から施設入所になった…など)によって一時的に症状が悪化してしまう方も少なくないことから、「認知症高齢者の日常生活自立度」の判定基準は要介護認定の際の参考材料とはなるものの、そのランク付けは、あくまで目安としての指標であるということを理解しておく必要がありそうです。



認知症高齢者の日常生活自立度の判定基準と留意事項

要介護認定の際の参考資料としても利用されている「認知症高齢者の日常生活自立度」の判定基準は下記に示す表のとおりです。

判定にあたっては、調査対象者の意思疎通の程度や症状、あるいは行動に着目するとともに、家族をはじめ、周辺の介護者からの情報も参考にすることが理想とされています。

なお、Mランクの〝M〟とは「Medical」の頭文字を取ったMのことで、Ⅳよりも症状が重いというよりも、調査対象者が専門医療による治療を要するという意味になります。




認知症高齢者の日常生活自立度判定基準
ランク 判定基準 主な症状・行動例 判定の際の留意事項 具体的なサービス例
何らかの認知症を有するが、日常生活は家庭内および社会的にほぼ自立している ---------- 在宅生活が基本であり、一人暮しも可能である。相談、指導等を実施することにより、症状の改善や進行の阻止を図る。 家族等への指導を含む訪問指導や健康相談がある。また、本人の友人づくり、生きがいづくり等心身の活動の機会づくりにも留意する。
日常生活に支障をきたすような症状・行動や意思疎通の困難さが多少見られても、誰かが注意していれば自立できる ---------- 在宅生活が基本であるが、一人暮らしは困難な場合もあるので、訪問指導を実施したり、日中の在宅サービスを利用することにより、在宅生活の支援と症状の改善及び進行の阻止を図る。 訪問指導による療養方法等の指導、訪問リハビリテーション、デイケア等を利用したリハビリテーション、毎日通所型をはじめとしたデイサービスや日常生活支援のためのホームヘルプサービス等がある。
Ⅱa 家庭外で上記Ⅱの状態が見られる たびたび道に迷うとか、買物や事務、金銭管理など、それまで出来たことにミスが目立つ等
Ⅱb 家庭内でも上記Ⅱの状態が見られる 服薬管理ができない、電話の対応や訪問者との対応など一人で留守番ができない等
日常生活に支障をきたすような症状・行動や意思疎通の困難さが見られ、介護を必要とする ---------- 日常生活に支障を来すような行動や意志疎通の困難さがランクⅡより重度となり、介護が必要となる状態である。「ときどき」とはどのくらいの頻度をさすかについては、症状・行動の種類等により異なるので一概には決められないが、一時も目が離せない状態ではない。在宅生活が基本であるが、一人暮らしは困難であるので、訪問指導や夜間の利用も含めた在宅サービスを利用し、これらのサービスを組み合わせることによる在宅での対応を図る。 具体的なサービスの例としては、訪問指導、訪問看護、訪問リハビリテーション、ホームヘルプサービス、デイケア・デイサービス、症状・行動が出現する時間帯を考慮したナイトケア等を含むショートステイ等の在宅サービスがあり、これらのサービスを組み合わせて利用する。
Ⅲa 日中を中心として上記Ⅲの状態が見られる 着替え、食事、排便、排尿が上手にできない、時間がかかる。やたらに物を口に入れる、物を拾い集める、徘徊、失禁、大声、奇声をあげる、火の不始末、不潔行為、性的異常行為等
Ⅲb 夜間を中心として上記Ⅲの状態が見られる ランクⅢaに同じ
日常生活に支障をきたすような症状・行動や意思疎通の困難さが頻繁に見られ、常に介護を必要とする ランクⅢに同じ 常に目を離すことができない状態である。症状・行動はランクⅢと同じであるが、頻度の違いにより区分される。 家族の介護力等の在宅基盤の強弱により在宅サービスを利用しながら在宅生活を続けるか、または特別養護老人ホーム・老人保健施設等の施設サービスを利用するかを選択する。施設サービスを選択する場合には、施設の特徴を踏まえた選択を行う。
M 著しい精神症状や問題行動(周辺症状)あるいは重篤な身体疾患が見られ、専門医療を必要とする せん妄、妄想、興奮、自傷・他害等の精神症状や精神症状に起因する問題行動が継続する状態等 ランクⅠ~Ⅳと判定されていた高齢者が、精神病院や認知症専門棟を有する老人保健施設等での治療が必要となったり、重篤な身体疾患が見られ老人病院等での治療が必要な状態である。専門医療機関を受診するよう勧める必要がある。