ひとくちに認知症と言っても、その症状は様々であり、個々の患者によってケア関係者がサポートする内容は変わってきます。 |
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要介護認定の際の参考資料としても利用されている「認知症高齢者の日常生活自立度」の判定基準は下記に示す表のとおりです。 判定にあたっては、調査対象者の意思疎通の程度や症状、あるいは行動に着目するとともに、家族をはじめ、周辺の介護者からの情報も参考にすることが理想とされています。 なお、Mランクの〝M〟とは「Medical」の頭文字を取ったMのことで、Ⅳよりも症状が重いというよりも、調査対象者が専門医療による治療を要するという意味になります。 |
ランク | 判定基準 | 主な症状・行動例 | 判定の際の留意事項 | 具体的なサービス例 |
Ⅰ | 何らかの認知症を有するが、日常生活は家庭内および社会的にほぼ自立している | ---------- | 在宅生活が基本であり、一人暮しも可能である。相談、指導等を実施することにより、症状の改善や進行の阻止を図る。 | 家族等への指導を含む訪問指導や健康相談がある。また、本人の友人づくり、生きがいづくり等心身の活動の機会づくりにも留意する。 |
Ⅱ | 日常生活に支障をきたすような症状・行動や意思疎通の困難さが多少見られても、誰かが注意していれば自立できる | ---------- | 在宅生活が基本であるが、一人暮らしは困難な場合もあるので、訪問指導を実施したり、日中の在宅サービスを利用することにより、在宅生活の支援と症状の改善及び進行の阻止を図る。 | 訪問指導による療養方法等の指導、訪問リハビリテーション、デイケア等を利用したリハビリテーション、毎日通所型をはじめとしたデイサービスや日常生活支援のためのホームヘルプサービス等がある。 |
Ⅱa | 家庭外で上記Ⅱの状態が見られる | たびたび道に迷うとか、買物や事務、金銭管理など、それまで出来たことにミスが目立つ等 | ||
Ⅱb | 家庭内でも上記Ⅱの状態が見られる | 服薬管理ができない、電話の対応や訪問者との対応など一人で留守番ができない等 | ||
Ⅲ | 日常生活に支障をきたすような症状・行動や意思疎通の困難さが見られ、介護を必要とする | ---------- | 日常生活に支障を来すような行動や意志疎通の困難さがランクⅡより重度となり、介護が必要となる状態である。「ときどき」とはどのくらいの頻度をさすかについては、症状・行動の種類等により異なるので一概には決められないが、一時も目が離せない状態ではない。在宅生活が基本であるが、一人暮らしは困難であるので、訪問指導や夜間の利用も含めた在宅サービスを利用し、これらのサービスを組み合わせることによる在宅での対応を図る。 | 具体的なサービスの例としては、訪問指導、訪問看護、訪問リハビリテーション、ホームヘルプサービス、デイケア・デイサービス、症状・行動が出現する時間帯を考慮したナイトケア等を含むショートステイ等の在宅サービスがあり、これらのサービスを組み合わせて利用する。 |
Ⅲa | 日中を中心として上記Ⅲの状態が見られる | 着替え、食事、排便、排尿が上手にできない、時間がかかる。やたらに物を口に入れる、物を拾い集める、徘徊、失禁、大声、奇声をあげる、火の不始末、不潔行為、性的異常行為等 | ||
Ⅲb | 夜間を中心として上記Ⅲの状態が見られる | ランクⅢaに同じ | ||
Ⅳ | 日常生活に支障をきたすような症状・行動や意思疎通の困難さが頻繁に見られ、常に介護を必要とする | ランクⅢに同じ | 常に目を離すことができない状態である。症状・行動はランクⅢと同じであるが、頻度の違いにより区分される。 | 家族の介護力等の在宅基盤の強弱により在宅サービスを利用しながら在宅生活を続けるか、または特別養護老人ホーム・老人保健施設等の施設サービスを利用するかを選択する。施設サービスを選択する場合には、施設の特徴を踏まえた選択を行う。 |
M | 著しい精神症状や問題行動(周辺症状)あるいは重篤な身体疾患が見られ、専門医療を必要とする | せん妄、妄想、興奮、自傷・他害等の精神症状や精神症状に起因する問題行動が継続する状態等 | ランクⅠ~Ⅳと判定されていた高齢者が、精神病院や認知症専門棟を有する老人保健施設等での治療が必要となったり、重篤な身体疾患が見られ老人病院等での治療が必要な状態である。専門医療機関を受診するよう勧める必要がある。 |