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認知症 評価スケールの基礎知識【NMスケール編】

認知症は進行性の脳疾患ですが、まだ症状が軽いうちに治療に専念することができれば、病気の悪化を遅らせる(緩和)ことは可能だと言われています。

認知症の症状イメージつまり、いかに認知症であるということを早期に発見することができるかが重要だということです。

しかし、認知症の中核症状や周辺症状の中には、一見すると他の病気(うつ病、統合失調症…等)と似たような言動や行動を示す患者も少なくないため、初期段階にあると見逃されてしまったり、あるいは他の病気と誤診してしまうこともあってか、認知症であるということの発見が遅れてしまいがちです。

そのため、医療機関で認知症の有無を診断する際には、様々な検査が行われますが、その検査方法のひとつがNMスケール(正式名称:N式老年者用精神状態尺度)と呼ばれるものです。
NMスケールの使用目的
認知症の疑いがある被験者に対して、実際の医療現場で広く使われている簡便な検査方法のひとつに「長谷川式簡易知能評価スケール」というものがありますが、この評価スケールは主に記憶力を中心とした知的機能の低下を知るためのテストです。

先にもお話ししたとおり、患者の初期症状によっては、客観的に判断することは医師でも難しく、認知症かどうかをより的確に捉えるためには、多面的に被験者を分析する必要があります。

そこで、日常生活における行動を観察することで、被験者の知的機能障害の重症度を評価するためのテストが〝NMスケール〟です。
長谷川式スケール
評価テスト
矢印
対話(口頭形式)により、被験者の知能を評価するテスト
NMスケール
評価テスト
矢印
日常生活における行動を観察することで被験者の精神状態を評価するテスト
NMスケールの特徴と問題点(欠点)
NMスケールは、認知症が疑われる被験者の日常生活の行動を観察し、点数化することによって知的機能の低下を評価するタイプの簡易テストなので、長谷川式スケールのような口頭による質問形式で行う必要はまったくありません。

そのため、検査場所を選ばず、非協力的な被験者や視聴覚障害のある患者に対しても実施できるといった利点が挙げられますが、下記にに示すような欠点もみられることから、状況に応じて使い分ける必要はありそうです。

※ 質問は、どれも大の大人に対して行うような内容(今日は何曜日?など)ではないため、自分が認知症の疑いがあると言う事実を受け入れられない被験者(特に若ければ若いほど受け入れ難い)にとっては馬鹿にされたような気持ちになってしまうことも…
利点 ・非協力的な被験者にも有効!
・意思疎通が難しい被験者にも実施できる!
欠点 ・検査する側の捉え方次第で評価にばらつきがでることも…
・家族からの情報提供量によって評価結果が左右されてしまうことも…
なお、このNMスケールは、被験者のおおよその精神状態を点数化することで認知症の重症度を暫定的に評価することはできますが、あくまで簡易テストであって、認知症の有無を確定するための検査ではありません。

したがって、評価結果によっては、より詳しい精密検査(SPECT検査、PET検査など)が必要になってきます。



認知症評価テスト:NMスケールの行動観察内容と判定方法

認知症の重症度を評価する判断材料としても使われるNMスケールでは、実際、日常生活におけるどのような行動を観察し点数化しているのか、とても気になるところかと思われます。

そこで、参考までにNMスケールの項目一覧と評価対象となる主な行動内容についてザッとまとめておきましょう。
N式老年者用精神状態尺度(NMスケール)
家事・身辺整理 関心・意欲・交流 会話 記銘・記憶 見当識
0点 不能 無関心
まったく何もしない

呼びかけに無反応
不能
まったくなし
1点 ほとんど不能 周囲に多少関心あり
ぼんやりと無為に過ごすことが多い
呼びかけに一応反応するが自ら話すことはない 新しいことはまったく覚えられない
古い記憶が稀にある
ほとんどなし
人物の弁別困難
3点 買い物不能
ごく簡単な家事、整理も不完全
自らはほとんど何もしないが、指示されれば簡単なことはしようとする ごく簡単な会話のみ可能
つじつまの合わないことが多い
最近の記憶はほとんどない
古い記憶多少残存
生年月日不確か
失見当識著明
家族と他人との区別は一応できるが誰かは分からない
5点 簡単な買い物も不確か
ごく簡単な家事、整理のみ可能
習慣的なことはある程度自らする
気が向けば人に話しかける
簡単な会話は可能であるが、つじつまの合わないことがある 最近の出来事の記憶困難
古い記憶の部分的脱落
生年月日正答
失見当識かなりあり(日時・年齢・場所など不確か、道に迷う)
7点 簡単な買い物は可能
留守番、複雑な家事、整理は困難
運動・家事・仕事・趣味などを気が向けばする
必要なことは話しかける
話し方はなめらかでないが、簡単な会話は通じる 最近の出来事をよく忘れる
古い記憶はほぼ正常
ときどき場所を間違えることがある
9点 やや不確実だが買い物、留守番、家事などを一応任せられる やや積極性の低下が見られるがほぼ正常 日常会話はほぼ正常
複雑な会話がやや困難
最近の出来事をときどき忘れる ときどき日時を間違えることがある
10点 正常 正常 正常 正常 正常
NMスケールの判定方法
NMスケールは〔① 家事・身辺整理 ② 関心・意欲・交流 ③ 会話 ④ 記銘・記憶 ⑤ 見当識〕の5項目で構成されており、さらに各項目を7段階に区分し点数化していますが、判定方法は、この5項目の点数を合計して、その総合点に応じて認知症の重症度を暫定的に評価することになります。

ちなみに、NMスケールは寝たきりの被験者にも判定評価(③ 会話 ④ 記銘・記憶 ⑤ 見当識の3項目で評価)が出来るような工夫がされています。
5項目(①・②・③・④・⑤)で評価 3項目(③・④・⑤)で評価
正常 50~48点 30~28点
境界 47~43点 27~25点
軽度 42~31点 24~19点
中等度 30~17点 18~10点
重度 16~0点 9~0点