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コレだけは押える!前頭側頭型認知症の基礎知識

ひとくちに〝認知症〟といっても、その原因疾患によって、患者に現れる症状や治療法は異なってきます。a

前頭側頭型認知症は、アルツハイマー型認知症や脳血管性認知症などに比べると患者数が圧倒的に少なく、医師の中でも、この病気に精通している者は限られてくるため、その症状から他の精神病(うつ病や総合失調症など)と診断されてしまい、適切な治療が行われていないケースも多いのではないかと懸念されている脳疾患のひとつです。

そこで、前頭側頭型認知症とは、いったいどんな病気なのか・・・現時点において報告されている病気の特徴についてまとめておきます。
前頭側頭型認知症の原因
前頭側頭型認知症とは、簡単に言ってしまえば、主に大脳の前頭葉と側頭葉の委縮が目立つ脳疾患のことですが、患者の症状によっては「進行性非流暢性失語症」と「意味性認知症」を含めた3タイプに分類することができることから、これらをひっくるめて〝前頭側頭葉変性症〟と呼ぶこともあるようです。
前頭側頭葉変性症
タイプ 特徴
前頭側頭型認知症 症状の詳細については、次項参照
進行性非流暢性失語症 先の言葉がなかなか出てこない…
意味性認知症 物の使い方はわかるが、その物が何を意味するものなのかがわからない…
また、冒頭でも触れたように、この病気は他の認知症に比べると症例数が少ないせいか、病気を発症するメカニズムや原因はよく解っていません。

そのため、ある特定の異常物質(ピック球やTDP-43)が脳の神経細胞内に蓄積するといった特徴については確認されていますが、病気の解明という点についてはいまだ不十分と言わざるをえません。
報告されている異常物質
ピック球 TDP-43
アーノルド・ピック氏(ドイツ人精神医学者)が発見した異常構造物で、現在は、このピック球の存在が確認された患者に限ってピック病と診断する傾向があります。 たんぱく質の一種で、筋肉が徐々に硬くなる筋萎縮性側索硬化症(ALS)の患者の脊髄にも蓄積していることを日本の研究グループが突き止めた。
検査方法
前頭側頭型認知症は、症状が進行すると脳の委縮が見られるという点においてはアルツハイマー型認知症と同じですが、アルツハイマー型認知症が、主に頭頂葉や側頭葉(内側)の委縮が顕著なのに対し、前頭側頭型認知症患者の脳は、前頭葉や側頭葉の委縮が目立つことから、脳の構造上の変化を知るための頭部CT検査やMRI検査を受けることで、その違いを見分けることができます。

ただし、この検査は脳の変化(委縮)があまり見られない初期段階の患者では判断のつかないこともあるので、早期発見や、より詳しい診断を下すためには、脳の機能変化を知るための〝SPECT検査〟や〝PET検査〟などが有効なのではないかという意見もあるようです。
治療法
先にも述べたとおり、前頭側頭型認知症についての研究は残念ながらあまり進んでおらず、アルツハイマー型認知症などの他の認知症に比べると、症状の改善や進行を遅らせることのできる有効な手立て(治療法や治療薬)はいまだ確立されていません。

治療薬イメージまた、この病気をよく理解していない医師の下では、アルツハイマー型認知症患者に有効な治療薬アリセプトを処方される方もいるようですが、前頭側頭型認知症患者にアリセプトは有効な治療薬とはなりえない(かえって興奮状態を招いてしまう等のリスクも考えられるそうです)といった報告もみられるので注意が必要です。

そのため、効果的な治療法がない以上、前頭側頭型認知症患者に対しては、個々の患者の症状に合わせて、薬物療法で症状を和らげながら介護中心のケアを続けていくしかないのというのが現状であり、新薬の開発が待たれます。

前頭側頭型認知症患者にみられる主な症状と特徴

病名にも含まれているように、前頭側頭型認知症患者の脳は、特に《前頭葉》と《側頭葉》の委縮が顕著であることが特徴のひとつです。

前頭葉【下図参考】とは、文字通り大脳の前方に位置する脳で、脳全体の約4割を占めていますが、この前頭葉では、主に意思や思考、感情をコントロールするとともに、人が行動を起こすという行為と深いかかわりがあります。

脳の構造イメージつまり、前頭葉の働きがあるおかげで、人は感情を抑制し理性的に行動することができるのです。

一方、側頭葉とは大脳の両側面に位置する脳で、聴覚や味覚をはじめ、記憶や判断力、感情等をコントロールする重要な働きを担っています。

そのため、側頭葉に異常(障害)が起こると、記憶障害などを引き起こします。
前頭側頭型認知症患者に見られる主な症状
チェック身だしなみに無頓着になり、不潔でいても平気でいる…
チェック毎日、同じものを食べ続ける…
チェック周囲の人を無視したり、馬鹿にした態度をとる…
チェック意味もなく同じ言葉(あるいは行為)を繰り返す…
チェック落ち着きがない…
チェック自発的な発語が減少する…
チェック興奮状態になりやすく、暴力を振るうことがある…
チェック他人の物やお店の商品を勝手に取っても犯罪の自覚がない… など
このように、前頭側頭型認知症は、アルツハイマー型認知症患者によく見られる症状とは大きく異なっており、主に人格障害(他人の迷惑を顧みず、自己中心的な行動を取ってしまうが、本人には自覚(悪気)がない)が目立ち、初期段階においては物忘れなどの記憶障害が現れにくいのも特徴のひとつです。







認知症:豆知識

SPECT検査、PET検査とは?

認知症患者の脳は症状が進行すると特定の部位が萎縮する傾向がみられますが、初期段階にあると老化による萎縮との判別が難しい場合もあります。

そこで、認知症をより正確に診断するために行う検査方法がSPECT検査やPET検査です。
SPECT検査
脳の血流状態を画像で見る検査方法。 アルツハイマー型痴呆症患者の脳は、頭頂葉内側の楔前部などで血流の減少が見られることから血流の減少部位を確認するために利用される。
PET検査
アルツハイマー病患者の脳は、神経細胞が委縮しブドウ糖の消費が減るため、その働きを調べることのできる検査方法。ブドウ糖値を測定するだけでなく、脳が消費する酸素消費量や脳血流量を画像にすることもできるため、脳内の異常を詳しく調べる機材としてはSPECT検査よりも優れている。ただし、PET検査で使用する薬品を作る装置が必要なため、PET検査が行える施設は限られている。

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