認知症とは、ある特定の脳疾患が原因で起こる様々な症状のことを総称した医学用語なので、必ずしも【認知症 = アルツハイマー病】というわけではありません。 現在、認知症を引き起こすと考えられている原因疾患は100以上にものぼると言われていますが、認知症の原因疾患を比率別でみると、次の3タイプが全体の約80~90%を占めています。
したがって、アルツハイマー型認知症ほど知名度は高くないものの、レビー小体型認知症も高齢者の間では、比較的、頻度の高い認知症として位置付けられている病気のひとつです。 この病気の存在を発見し、世界で最初に報告した人物は日本人研究者の小阪憲司氏ですが、レビー小体型認知症という病名が正式に名付けられたのは1995年のことです。 そのため、レビー小体型認知症は、比較的まだ新しい病気と言えますが、脳の神経細胞が減少する変性型の認知症であるという点においては、アルツハイマー型認知症と変わりありません。 病名に付いている〝レビー小体〟とは、もともとドイツ人の神経科医フレデリック・レビー(Frederic H. Lewy)氏が、パーキンソン病の発病と深いかかわりがあるとして発見し、名付けた病変(封入体)ですが、このレビー小体と呼ばれる異常なたんぱく質の塊が、脳の神経細胞内に蓄積してしまうことで様々な障害が引き起こると考えられています。
そのため、この種の病気に関する知識があまりないと、専門医でも誤診(パーキンソン病やアルツハイマー病、うつ病など)してしまうことがあったり、適切な治療が受けられずに症状がどんどん悪化してしまうケースもあるので、担当医には、それなりに知識のある医師を紹介してもらうことが大切です。 一般的にレビー小体型認知症は、60歳以上(稀に40代前後で発症する方もいるようですが…)の高齢者に多くみられる認知症だと考えられていますが、レビー小体型認知症は物忘れや知的機能の低下よりも先に初期症状として幻覚やせん妄(意識障害の一種)による異常行動が出やすいのが特徴だと言われています。 特に実際にはない(見えない)ものが極めて生々しく見えてしまう幻視が現れることが多いようで、患者に見られる主な症状としては次のようなものが挙げられます。
レビー小体型認知症とは、レビー小体と呼ばれるたんぱく質の一種が深くかかわっていることまでは判明していますが、どういったメカニズムに基づいて脳の神経細胞内に出現するのかまでは実はよくわかっていません。 そのため、アルツハイマー型認知症と同じく、根本的な治療手段は確立されておらず、医療現場ではいまだ試行錯誤を重ねながら、最も効果的な治療法を試みている段階中にあるといえます。 また、比較的新しい病気なので、この病気に関する知識や経験の乏しい医師も多く、似たような症状を示すアルツハイマー型認知症やうつ病、あるいはパーキンソン病と誤診してしまうケースも少なくありません。 しかし、根本的な治療法はなくても、対症療法によって患者の症状を和らげることは可能なようです。 特にレビー小体型認知症は症状が悪化すると介護者の負担も大きくなってしまうので、早期に適切な治療を受け、進行を遅らせる(介護しやすい方向にもっていく)ことが重要です。 ちなみに、レビー小体型認知症の治療は、主に薬物療法が中心となってきますが、個々のケース(症状)により薬の組み合わせや量が変わってくるので、患者の様子を見ながら少しずつ投与(←抗精神病薬への反応が過敏な患者も多いため)していくことになります。
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