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アルツハイマー型認知症患者向けの福祉施設の種類

比較的、症状が軽く、たいてい身の回りのことは自分でできるという患者であれば、なにも福祉施設を利用する必要はありません。

また、アルツハイマー型認知症の症状が悪化しても、重度の行動障害(暴力、徘徊、突然夜中に騒ぐ…等)が少なく、家族で無理なく世話をすることができる環境にある場合も、施設ではなく在宅サービスなどを利用しながら、自宅介護を続けることは十分可能です。

しかし、アルツハイマー型認知症は〝進行性〟の病気です。

病気の悪化を遅らせる(緩和する)ことのできる治療薬はありますが、現段階において、病気そのものを根本的に治す治療法はいまだ確立されていないのが現状です。

そのため、今はまだアルツハイマー型認知症の症状が軽くても、時間とともに患者の障害は重くなっていくので、自宅介護ではどうしてもサポートしきれないほど症状が悪化してしまった場合には、福祉施設の利用を選択肢のひとつとして検討してみるのも決して悪いことではありません。

中には、いくらアルツハイマー型認知症だからと言って、実の親を施設に入れるなんて・・・と非難する人もいるかもしれませんが、家族の顔すら分からなくなってしまったり、重い行動障害がある重度アルツハイマー型認知症患者を介護する者の負担はとても大きく、その大変さは介護者本人しか分からないことです。

介護施設イメージ介護保険で利用することのできる福祉施設サービスは、まさに、そんな状況に追い込まれてしまった方に利用されるべき制度なので、自宅介護が限界にきているような場合は、無理をして頑張るよりも、施設サービスを上手に利用しながら、患者・介護者双方にとって少しでも負担が軽減されるような選択肢を選ぶのも一つの方法ではないでしょうか。

そこで、アルツハイマー型認知症患者を受け入れてくれる施設にはどのようなところがあるのか・・・その主な受け入れ先をいくつかリストアップしておくので参考にしてみてください。
アルツハイマー型認知症患者が入所できる施設
施設 要介護の有無 特徴
特別養護老人ホーム
(特養ホーム)
要介護度3以上 日常生活において常に介護全般(食事/入浴/排泄など)の世話を必要とする「要介護3以上」の高齢者を対象とした福祉施設。他の施設に比べ費用が安く、終身利用できることから、重度アルツハイマー型認知症患者に適した施設(ただし、常時治療を必要とするような患者は利用できないケースが多い)だが、その分、需要も高く、入所希望者が多いため、申請しても直ぐに入れるとは限らない(通常、数か月~数年待ちの状態)。

※ 2002年以降、申込み順から介護の必要性が高い高齢者を優先して入所させるシステムに切り替えられたが、それでも直ぐに入所できる保証はないのが現状…
介護老人保健施設 要介護度1以上 症状は安定しているが、リハビリや看護、介護等の医療サポートを必要としている高齢者を対象とした福祉施設。あくまで在宅介護の復帰を目的としている施設のため、短期間(3か月程度で退所が求められる)の入所しか認められていないが、サイクルが早い分、特養ホームよりも入所しやすい状況にある。
認知症高齢者型
グループホーム
要介護度1以上 認知症高齢者が集まって少人数で共同生活をする施設。介護スタッフや利用者が互いに協力して家事などを行いながら家庭的な生活を送ることを目的としているため、重度アルツハイマー型認知症の方や、入所後、症状が悪化し重度化してしまった場合には、退所しなければならないこともある。
介護療養型医療施設 要介護度1以上 主に医療法人が主体となって運営している施設。長期的な医療サポートを必要としている高齢者を対象としているため、治療の必要性が低いと判断された場合には入所できないことも…。一方、精神状態や行動障害が重い重度アルツハイマー型認知症患者などは長期間受け入れてくれるところもある。
ケアハウス -------- 常に介護を必要としない、比較的、軽度の高齢者を対象とした福祉施設。一人暮らしで、万が一、何かあったら不安・・・と感じているような方が入所するケースも多く、福祉機能と居住機能を併用した住まいであることから、グループホーム同様、認知症の程度(進行度)によっては入所が断られることもある。
介護型
有料老人ホーム
-------- 民間事業者等が中心となって運営する福祉施設。他の施設に比べ、施設によって入所条件は異なってくるが、終身可能な所も多く、ニーズに応じたサービスを幅広く提供しているところもあるので、費用に余裕がある方は検討してみる価値のある施設。




アルツハイマー型認知症患者向け施設選びの際のポイント

先に紹介したとおり、アルツハイマー型認知症患者を受け入れてくれる施設は複数あるので、どの施設サービスが自分のケースには適しているのか迷ってしまう方も多いのではないでしょうか。

施設によっては「要介護認定」が入所条件になっていたり、あるいは「重度アルツハイマー患者はお断り!」とするケースもあるので、患者の状態(症状)によって、ある程度、施設を絞り込むことはできますが、福祉施設を選ぶ際には、どのような点に注意を払いながら最終決定をしたらよいのか・・・

特に重要と思われるチェックポイントをいくつか挙げておくので、少し参考にしてみてください。

※ ただし、特養ホームのような福祉施設は入所希望者が多いため、選択の余地はない!というのが現状…
施設選びの際の主なチェックポイント
チェック 複数社のパンフレットを取り寄せる!

※ 初めからココだ!と決め付けず、必ず複数の施設から案内状を取り寄せ見比べること。その際パンフレットが豪華であるとか、HPの作りが立派だとかいう点は判断材料にしない!
チェック パンフレットの中から特に良さそうだと思えた施設をいくつか絞り込み、見学の申込みをする!

※ この時点ではまだ1ヶ所に絞り込まない!パンフに乗っていた写真やイメージと実際に足を運んで施設内を見学するのとでは感じ方が大きく違ってくるので必ず見学すること。また、複数の施設を回ることで、各施設の特徴や善し悪しが見えてくるようになる。
見学時のチェックポイント
チェック スタッフの様子(挨拶はできているか? 笑顔で対応しているか? 動きは機敏か?)
チェック 入所者の様子(笑顔の方が多いか?)
チェック アルツハイマー型認知症に対する知識や理解のある従業員は多いか?
チェック 施設内の臭い(排泄物の処理や清掃が行き届いていないと異臭がしてくるので、衛生面においても施設内の〝におい〟に関しては意外と重要なチェックポイントになってくる)
チェック 車椅子でも十分移動できるだけの通路幅や段差への配慮はあるか?
チェック 浴室は安全面(手すりなど)に配慮した使いやすい作りになっているか?
チェック 避難経路は十分に確保されているか?
チェック 室内環境(明るく開放感のある部屋か? 利用者のプライバシーが保たれるような作りであるか?)
チェック 施設内の飾りつけはどうか?(入所者に対するスタッフの心遣いや姿勢が分かる意外と重要なポイント)
チェック 食事(入所者の状態に合わせた食事(普通食・刻み食・流動食など)が用意されているか? 施設によっては事前に申し込むことで試食できるところもある)
チェック 施設内レクリエーション(行事)は定期的に行われているか?