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コレだけは押える!若年性アルツハイマーの治療薬

一般的に若年性アルツハイマーとは、年齢が65歳に満たない人を対象とした病名ですが、特に若年性アルツハイマーは高齢者以上に症状の進行が早い傾向が見られる傾向も強く、まだまだ働き盛りの中高年世代(主に40~50代)の方が、この病にかかってしまうと、家族や仕事面での支障も大きく問題は深刻です。

したがって、医師から「あなたは若年性アルツハイマー病の疑いがあります」と診断されたときのショックは計り知れないものがあり、その治療方法があるのかないのか、とても気になるところかもしれません。

そこで、若年性アルツハイマー病と宣告された患者に対して、実際に行われている治療法にはどのようなものがあるのか、現在、主流の治療方法についていくつか紹介しておきましょう。
薬物療法の種類と特徴
若年性アルツハイマー病とは脳そのものが通常の老化よりも急速に委縮してしまうことによって、徐々に〝記憶障害〟や〝知的障害〟が悪化していく認知症原因のひとつです。

なぜ、脳が急速に委縮してしまうのか・・・そのメカニズムについては、いまだはっきりと解明されたわけではありませんが、βアミロイドと呼ばれるたんぱく質の一種が、脳内に蓄積(正常な脳内ではすぐに分解される)してしまっていることが深くかかわっているのではないかとする「アミロイド仮説」が有力です。

そのため、近年は、このアミロイド仮説に沿った治療法が研究されていますが、残念ながら、若年性アルツハイマー病を完全に治す術はいまだ見つかっておらず、根本的な治療法が確立されるまでにはもう少し時間がかかりそうです。

しかし、これまでの研究成果により、若年性アルツハイマー病患者に起こる記憶障害や知的障害の進行を遅らせたり、緩和することのできる薬はいくつか開発されており、日本国内で処方される薬の種類も徐々に増え始めているので、その主な治療薬をいくつかリストアップしておきましょう。
アルツハイマー型認知症治療に用いられる製剤
主成分 品名 特徴
塩酸ドネペジル アリセプト
アリセプト画像
1999年に発売され、約10年程の間、日本国内で唯一承認されていた治療薬。アルツハイマー病患者の脳内では記憶と深い関係にある神経伝達物質アセチルコリンが減少していることから、このアセチルコリンの濃度を高めることで記憶障害や知的障害の改善を試みている。根本的や治療薬とはなりえないが、比較的症状の軽い軽度アルツハイマー病患者に対しては、ある程度の改善(個人差もあるが数ヶ月~1年くらい前までの状態に回復させることができるとする報告もある)効果が期待できると考えられている。
ガランタミン レミニール
(Reminyl)
レミニール画像
世界70カ国以上で発売・処方されている主流の治療薬であり、2011年1月、ヤンセンファーマ(株)が厚労省より製造販売承認を取得したことで日本国内での処方も可能となった。塩酸ドネペジル同様、アセチルコリンを分解するコリンエステラーゼ阻害作用があるが、ニコチン受容体(←神経伝達物質を調節する役割を担っている)への作用がプラスされている点で異なってくる。海外では、主に軽度~中等度アルツハイマー病治療薬として使用。
リバスチグミン エクセロン
(Exelon)
エクセロン画像
経皮吸収型製剤。上記2種の薬と同様、コリンエステラーゼ阻害剤の一種であるが、アセチルコリンだけでなく、ブチリルコリン(アルツハイマー病の悪化と関連があるのではないかと疑われている物質)エステラーゼをも阻害する点で異なってくるため、従来の薬が奏功しない患者にも効果が期待できると考えられている。また、経口剤とは違い、パッチ剤(貼り薬)として使用するため、副作用のリスクも軽減されるという点で患者に対する負担も少なく、世界40カ国以上で使用されている。日本国内では、ノバルティスファーマと小野薬品が、共同開発により貼付剤としてのアルツハイマー型認知症治療薬リバスチグミン(商品名:リバスタッチパッチ/イクセロンパッチ)を発売。
メマンチン塩酸塩 海外:Namenda
国内:メマリー
メマリー画像
病気の進行を抑制するという点においては他の主製剤と似ているが、アセチルコリンの濃度を高めることで改善を試みるアリセプトのような薬とは違い、神経細胞を保護する(つまり、脳内で悪さをすると考えられているグルタミン酸(←記憶や学習能力と深いかかわりがある)の働きを阻害する)ことで症状の改善を試みている。中等度~高度アルツハイマー型認知症における治療薬として世界で広く使われており、2011年1月、第一三共製薬が厚労省より製造販売承認を取得したことで日本国内での処方も可能となった。


若年性アルツハイマー:ワクチン治療の現状と将来性

前項で紹介した治療薬は、いずれも若年性アルツハイマー病の進行を遅らせる(あるいは緩和する)という点においては一定の効果が期待できますが、残念ながら、病気そのものを根本的に治す治療法ではありません。

治療薬開発イメージそんな中、近年、注目されている治療法のひとつが《ワクチン療法》です。

つまり、アミロイド仮説が正しいとするならば、脳内に蓄積してしまったβアミロイドを消失させることができれば、アルツハイマー病による記憶障害や知能障害の予防・治療ができるはず・・・

そこで、あらかじめ人為的にワクチンを投与し、ある特定の物質に対し攻撃する抗体を作ることで、アルツハイマー病に関与していると考えられている物質を取り除き、改善を試みようという治療法です。

過去の有名な例としては、2000年に始まったエラン社(アイルランド)のワクチン療法がありますが、この臨床試験では、患者の脳内でβアミロイドの減少は認められたものの、治験の段階で患者の約5%が重篤な副作用(髄膜脳炎)によって死亡したため、2002年に試験は中止され、商品化には至っていません。

しかし、現在もこのワクチンを使った治療研究は世界各国で続けられており、近い将来、若年性アルツハイマー病の治療に有効なワクチンが開発されるのではないかと期待されています。

最後に、まだ研究段階ではありますが、日本国内で行われている開発中のワクチンをいくつか紹介しておきましょう。

日本国内で開発中の主なワクチン
DNAワクチン
東京都神経科学総合研究所 参事研究員松本陽氏をはじめ、スイスノバルティス生物科学研究所博士との共同研究において開発中の遺伝子を用いたワクチン。副作用の原因と推測される免疫賦活剤を必要としないため、安全性が高いと考えられている。
食物ワクチン
アルツハイマー研究者でもある東京大学教授石浦章一氏が考案したワクチン研究。遺伝子組み換え技術を利用してβアミロイドの入った食物を作り、その食物を人が摂取することで、体内にβアミロイドに対する抗体を作ろううする試み。
ホモシステイン酸ワクチン
佐賀女子短大(長谷川亨教授)やカリフォルニア大学の研究グループが開発中のワクチン。脳内の細胞破壊に関与しているのではないかとみられるホモシステイン酸に注目し、特殊なたんぱく質とホモシステイン酸を合成したワクチンをアルツハイマー病患者に投与することによって記憶障害の改善を試みる治療法。

※ 2010年1月、カリフォルニア大学との共同研究により、アルツハイマー病の一因とされるホモシステイン酸のマウスにおける抑制ワクチンの開発に成功したとの論文を発表。