アルミがアルツハイマー病の原因・・・!? 巷ではそんな話も耳にするため、アルミを使った調理器具やアルミ缶飲料を口にすることに不安を抱いている方もいますが、アルミが人体に与える影響について、しっかりと説明できる方は意外と少ないようです。 つまり、アルミはなんとなく脳によくないといった漠然とした知識だけで危険視しているわけです。 そこで、なぜアルミがアルツハイマー病の原因ではないかと疑われはじめるようになったのか、まずはそのあたりの経緯について理解を深めておくことが大切です。 アルミがアルツハイマー病の原因ではないかと疑われるようになった事件や研究発表は過去にいくつかありますが、その中でも特に主だった記事としては次のようなものが挙げられます。
しかし、実のところ、アルミがアルツハイマー病の元凶であるとする明確な科学的根拠はいまだ発表されていません。 にもかかわらず、アルミがアルツハイマー病の原因だと信じて疑わない人が多いのは、特にこの手の事件が日本国内で注目された1990年代にこぞって取り上げたマスメディア(新聞、テレビ、雑誌など)の報道の仕方に問題があったのではないかと思われます。 つまり、いまだ仮説段階でありながら、さも人体に危険であるかのような誤解を招く報道が少なからず行われていたわけです。 前項でも説明したとおり、高濃度のアルミが体内に蓄積してしまうと、アルミニウムの毒性による脳を含めた人体への影響が懸念されますが、JECFA【右記:豆知識参考】によれば、人体に対するアルミの最大許容摂取量(アルミニウムが健康に影響を及ぼすことのない上限と考える量)は〝体重1kgあたり2mg/週〟と設定されています。 ※注:以前の最大許容摂取量は、7mg/週と設定されていましたが、従来よりも少ない投与量で影響を及ぼすという報告があったため、平成23年の第74回会合において、2mg/週に変更されました。 つまり、体重50kgの人であれば、1日あたり約14mgという計算です。 ちなみに、最新の政府調査(平成23~24年度)によると、人が食物や飲料水として摂取するアルミニウム量は、すべての年代層で、最大許容摂取量を下回っているというデータがあるので、アルミニウム含有量の多い食物を日頃から積極的に摂取しているならまだしも、普通の生活を続けている限り、必要以上に心配することはないと考えられています。 ※ また、体内に取り込まれたアルミの約99%は吸収されずに排泄(便/尿)されてしまいます。ただし、腎機能等に障害があり、アルミが体内に蓄積されやすいような体質の方は注意を要することもあるようです。
しかし、アルミニウムが人体に対してどのような影響を与えるのか、いまだはっきりと解明されているわけではないので、完全にシロではない(つまり、主原因とはならなくても、アルツハイマー病等の発症原因に何かしらの影響を及ぼしている可能性は否定できない…)と言うことも理解しておくべきなのかもしれません。 |
|