これまで、一般的には「アルツハイマー = 高齢者の病気」と位置付けられてきた節がありますが、『明日の記憶』や『私の頭の中の消しゴム』といった映画がヒットした影響もあり、最近では高齢者のみならず、まだまだ働き盛りの若い世代でもかかる〝若年性アルツハイマー〟と呼ばれる病名があるということも少しずつ理解され始めています。 そのため、若年性アルツハイマーという病名を知った人の中には「最近、物忘れが激しくなった気がする…」などの理由から、もしかしたら自分はアルツハイマーの疑いがあるのかも・・・と不安を抱いている方も少なからずいるようです。 若年性アルツハイマーは、病気の進行が早く、高齢者がかかりやすい一般のアルツハイマーに比べ、早期発見・早期治療が特に重要になってくるとの指摘もあるので、自宅で手軽に若年性アルツハイマーかどうか判断することができるチェックシートなどをダウンロードし、自分がそのチェック項目にどれだけ当てはまるか確認してみるのも悪くありませんが、若年性アルツハイマーは、うつ病などの他の病気と似たような症状が見られるケースも少なくないため、チェックシートに記載されている項目に該当するからといって、必ずしもそれだけで若年性アルツハイマーにかかっていると断定することはできない難しさがあります。 そこで、チェックリストを確認する前に、若年性アルツハイマーとはいったいどのような症状で、どんな仕組みによって引き起こるのか… まずはそのあたりの基礎知識を押さえ、必要以上に不安がらないことが大切なのかもしれません。 冒頭でも触れたように、アルツハイマー病は主に〝65歳以上〟の高齢者に多くみられる脳そのものが委縮してしまう病気のひとつです。 ところが、近年、働き盛りの40~50代の中高年の間でも、アルツハイマーと似た症状に襲われる患者が増えていることから、65歳未満で発病してしまった患者を高齢者アルツハイマーと区別して〝若年性アルツハイマー〟と呼んでいます。 ※ 30代以下でも発病したとする報告例もありますが、このようなケースは稀で、10~30代でアルツハイマーと似たような症状がみられる場合は、ストレスや睡眠不足等を原因としたものが多く、改善の余地があると考えられています。 さて、この若年性アルツハイマーですが、その原因や仕組みについては、いまだ解明されていない部分も多いのですが、高齢者が発病する一般のアルツハイマーと同じく、βアミロイドと呼ばれるたんぱく質の一種が大きく関わっているのではないかとする説が有力です。
※ 現在、早期治療を行えば進行速度を遅らせることは可能だと考えられています。 若いがゆえに「まさか自分が…」という自覚のなさと、認知症の知識が乏しいこと、また、専門家でも他の病気(その症状は特にうつ病などにも共通している部分が多い)と誤診してしまう恐れがありますが、次項のチェックリストでも触れているように、特に遺伝性の強い脳疾患なので、親族に若年性アルツハイマーの方がいた場合には、一度、認知症に詳しい専門医に診てもらうことも考慮した方がよいかもしれません。
若年性アルツハイマーに限らず、アルツハイマー病を完全に治すための治療法や特効薬は、残念ながら現時点では確立されていないのが現状です。 しかし、早期発見・早期治療を行うことで、その進行を遅らせることは可能だと考えられています。 したがって、いかに早く発病に気づき治療に専念するかが大切です。 そこで、若年性アルツハイマーかどうかを判断するひとつの目安としてチェックリストを示しておくので、あくまで参考程度に過ぎませんが、最近、物忘れが増えたような気がする・・・と心配されている中高年の方は、一度、下記チェック項目と自分の症状とを照らし合わせてみるのもよいでしょう。 ※ あくまで簡易チェックリストであり、下記項目に該当するからといって必ずしも若年性アルツハイマーにかかっているとは断定できません。不安な方は、一度専門医に診てもらうことをお勧めします。
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