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福祉住環境コーディネーター3級試験対策の基礎知識

このページをご覧になっているということは、福祉住環境コーディネーター3級の資格に少なからず興味のある方かと思われます。

しかし、ちょっと待って下さい!

福祉住環境コーディネーター3級の資格が、就職や転職の際に有利に働くだろうと考えて資格取得を目指している方は注意が必要です。

その理由についてはこれから説明しますが、まずは福祉住環境コーディネーター3級とはいったいどのような役割を期待されている資格なのか、検定試験はどのように行われるのか、そのあたりの基本的な知識についてザッと押えておきましょう。
福祉住環境コーディネーターとは…
平成11年5月、東京商工会議所が新たに創設した公的資格(検定試験)が福祉住環境コーディネーターです。
福祉住環境コーディネーター試験の特徴
福祉住環境コーディネーターの資格を取得するには、所定の検定試験に合格しなければなりませんが、能力に応じた級(1~3級)が用意されているため、受験者は段階的にスキルアップしていくことが可能!
福祉住環境コーディネーターの資格取得者には、高齢者や障害者が安心して暮らせる住みやすい住環境の整備と改善を提案するアドバイザー的な役割を期待されていますが、住宅とそこで暮らす高齢者等を相手とした仕事であることから、ケアマネージャーや建築関係者との連携も欠かせないため、幅広い知識と視野を持った人材が求められます。
福祉住環境コーディネーターに求められる職業倫理
あくまで、できるだけ介護を必要とせず、自立生活ができるような生活環境を作りだす(提案)サポートを行い、支援することが目的!
具体的な仕事内容(一例)
チェック住環境における構造上の問題点を見つけ改善(建築やリフォーム等の提案)
チェック介護用品、福祉用具、家具等の選び方や利用方法についての助言
チェック住宅改修費の支給を受けるために申請しなければならない理由書の作成…など
中でも、原則、ケアマネジャーが行うとされてきた住宅改修費の支給申請書の作成が2001年以降、福祉住環境コーディネーターにも認められたために、この資格に対する期待が高まっている!と謳った文句も少なからず見受けられます。
福祉住環境コーディネーター3級の試験概要
福祉と住環境に関する基礎知識や能力が備わっているか、その理解度を確認するための、いわば入門テストのようなものが福祉住環境コーディネーター3級試験です。

福祉関連資格の中では、比較的珍しい受験資格(福祉系の資格は実務経験等を受験資格にしているものが多い。ただし、1級試験は2級合格者を受験資格としている)を必要としない資格試験で、かつ、試験形式もマークシート方式(四肢択一)を採用していることから、職種を問わず受験しやすいのが特徴です。

なお、福祉住環境コーディネーター3級試験の詳細については次のとおりです。
試験区分 公的資格
受験資格 特になし
試験日 年2回(7月/11月)
受験地 全国各地(詳しくは公式HPへ)
手数料 4,320円
試験形式 2時間(10:00~)マークシート方式[四肢択一・穴埋め]
合格基準 100点満点中、70点以上の正解
出題範囲 ① 少子高齢社会と共生社会への道
② 福祉住環境整備の重要性・必要性
③ 在宅生活の維持とケアサービス
④ 高齢者の健康と自立
⑤ 障害者が生活の不自由を克服する道
⑥ バリアフリーとユニバーサルデザインを考える
⑦ 生活を支えるさまざまな用具
⑧ 住まいの整備のための基本技術
⑨ 生活行為別に見る安全・安心・快適な住まい
⑩ ライフスタイルの多様化と住まい
⑪ 安心出来る住生活
⑫ 安心して暮らせるまちづくり
問合せ先 東京商工会議所 検定センター
合格率・出題傾向から見た試験の難易度
右記欄外に福祉住環境コーディネーター3級試験の受験者データを数年分まとめて見ましたが、ご覧のとおり、合格率は比較的高い水準で推移していることがうかがえ、例年、約2人に1人は合格していることが分かります。

平成21年度には、合格率が60%を超える非常に高い水準で推移していますが、これは3級試験が、あくまで福祉と住環境に関する基礎知識を広く浅く確認するための試験であって、難易度の高い問題が出題されないこと、そして、試験形式が四肢択一と穴埋め問題によるマークシート方式が採用されていることなどが影響していると考えられます。

出題イメージさらに、福祉住環境コーディネーター3級試験は、東京商工会議所が発行する検定試験向けの公式テキストに基づいて出題されることから、試験対策が立てやすく、公式テキストさえ、しっかりと押えておけば、本試験で7割の得点を取ることはそれほど難しいことではないので、公式テキスト+α市販の問題集を利用した独学スタイルで受験される方も少なくないようです。

※注:新テキストの発行により、2016年度試験から改訂4版の公式テキストに準拠して出題されます。



意外と知らない !? 福祉住環境コーディネーター3級の落とし穴

これからますます社会の高齢化が進むにつれ、福祉系資格は重要度が増すと言われています。

福祉住環境コーディネーターの資格も例外ではなく、今後は需要が拡大し将来性も高い!と持て囃されていますが、現状は少し異なるようです。

そこで、後々、後悔しないためにも福祉住環境コーディネーター3級の資格取得を考えている方は、以下のような現状があると理解した上で試験対策を始めた方がよさそうです。
住宅改修費の支給申請書の作成はできない!
前項でも触れたように、福祉住環境コーディネーターには、ケアマネージャーと同じく住宅改修費の支給申請書を作成することができるようになりましたが、この作成業務は3級取得者には認められていません(つまり、2級以上の資格が必要!)。
資格取得後の現状と将来性
高齢化の波が進むにつれて、従来の住環境では支障の出てくる高齢者が増えてくることは十分考えられるため、高齢者の安全や住みやすさに配慮した専門知識をもった福祉住環境コーディネーターのアドバイスは貴重なものとなりえますが、この資格を柱に生計を立てているという方は残念ながらほとんどいないというのが現状のようです。

その理由のひとつとして、福祉住環境コーディネーターは国の法律に基づいて創設された国家資格ではなく、あくまで東京商工会議所認定の公的資格(国会資格に比べると劣る)であり、特にこれといって独占業務がないことが挙げられます(福祉住環境コーディネーターの資格を取ると手当てが付くといった会社もあまり聞いたことがありません)。

また、福祉住環境コーディネーターのみの資格では、快適な住環境を作り出す改修プランのアドバイスはできても、実際の改修工事やリフォームが行えないとなると、それほどの魅力は感じません。

事実、仕事で役立つとされる上級資格取得者は、建築関係の仕事に携わる者が福祉住環境コーディネーターの資格を取得している場合も多く、建築士等の資格取得者がプラスα的な付加価値をつけるために取得しているケースが目立ちます。

しかし、福祉関係の職場で働いている者にとっては、福祉住環境コーディネーターの資格取得の際に身につけた専門知識が時には役立つこともあるようなので、福祉の現場で長く働きたいという考えている人にとっては、スキルアップの意味で、まずは3級試験から受けてみるのも無駄ではないでしょう。
受験者の取得資格:H23年度
資格 1級 2級 3級
ホームヘルパー 134 6,599 3,342
介護福祉士 95 3,457 1,403
建築士 180 2,053 514
カラーコーディネーター 55 797 450
看護師 28 678 377
ケアマネジャー 100 1,382 410
社会福祉士 61 637 194
インテリアコーディネーター 44 503 148
理学療法士 50 1,249 140
作業療法士 41 796 89








3級試験の受験者データ
実施年度 受験者 合格者 合格率
H20 20回 10,385 4,787 46.1
21回 10,830 5,630 52.0
H21 22回 10,988 7,527 68.5
23回 10,302 6,420 62.3
H22 24回 10,251 5,726 55.9
25回 10,288 6,256 60.8
H23 26回 9,013 5,373 59.6
27回 8,635 3,828 44.3
H24 28回 8,239 4,443 53.9
29回 8,205 2,322 28.3
H25 30回 7,454 4,702 63.1
31回 7,159 4,023 56.2
H26 32回 6,692 4,975 74.3
33回 6,702 4,314 64.4
H27 34回 6,312 3,971 62.9
35回 6,521 4,171 64.0



資格講座:豆知識

講座費用が安くなる !? 教育訓練給付金とは…?

厚生労働大臣が指定する講座を受け、一定の受講修了要件を満たした修了者は、受講終了後、修了時点までに実際に支払った学費の20%(支給額は10万円が上限)にあたる額の給付金がハローワーク(公共職業安定所)より支給されます。
給付金の支給額
実際に支払った学費の20%
【上限額:10万円】
この制度を〝教育訓練給付制度〟と呼んでいますが、働く人の主体的な能力開発の取組みを支援し、雇用の安定と再就職の促進を図ることが目的なので、申請すれば誰でも給付金が貰えるというものでもありません。

そこで、参考までに給付金が支給されるケースについて以下に示しておきましょう。
利用条件
■初めて利用する

通算1年以上の一般被保険者

■以前利用したことがある

前回の利用から受講開始日に雇用保険の一般被保険者であった期間が通算3年以上。

※ ただし、一般被保険者でなくなった日から1年以内の方もOK(また、所定の手続きをとることで4年以内の延長も可)
対象資格(一例)
福祉住環境コーディネーター・ケアマネージャー・医療事務・介護福祉士・保育士・税理士・歯科助手・社会保険労務士・行政書士・公認会計士・宅地建物取引主任者・簿記検定・不動産鑑定士 …など

※同じ資格試験であっても、給付金制度の対象とならないスクール講座もあるので必ず各自でよく確かめてください!

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