介護支援専門員とは、2000年4月にスタートした介護保険制度によって生まれた新たな国家資格ですが、介護支援専門員と言われても「何それ…?」と逆に聞き返してしまう人も、きっと多いのではないでしょうか。
その理由は法律に基づいて名付けられた正式名称よりも〝ケアマネジャー〟という名称の方が一般的に普及しているからです。
つまり、介護支援専門員とは、ズバリ〝ケアマネジャー〟のことを指しています。
介護支援専門員の資格を取得するには、まず「介護支援専門員実務研修受講試験」に合格しなければなりませんが、この国家試験には受験資格があるため、指定された一定の条件を満たさなければ試験を受けることはできません。
なお、受験資格の詳細については下記に示すとおりです。
このように「一定の資格保有者や実務経験者」であることが条件なので、介護支援専門員の資格は、介護系の職場で働きたいと考え始めたばかりの人にとっては、とりあえず関係のない資格であると言えるかもしれません。
Ⅰ.以下にあげる国家資格を取得している実務経験5年以上を有する者
医師 / 歯科医師 / 薬剤師 / 助産婦 / 保健師 / 看護師 / 准看護師 / 理学療法士 / 作業療法士 / 社会福祉士 / 介護福祉士 / あん摩マッサージ指圧師 / はり師 / きゅう師 / 義肢装具士 / 言語聴覚士 / 歯科衛生士 / 視能訓練士 / 柔道整復師 / 精神保健福祉士 / 栄養士 / 管理栄養士 |
※ 上記国家資格保有者であっても、要援護者に対する直接的な対人援助ではない(研究業務期間など)場合は実務経験期間に含まれません。
Ⅱ.以下の相談援助業務のいずれかに従事する者
ア:施設等において必置とされている相談援助業務に従事する者
イ:法律に定められた相談援助業務に従事する者
ウ:その他の相談援助業務に従事し、以下の(ア)~(エ)までの要件のうち、いずれかを満たす者
(ア)社会福祉主事任用資格を取得したこと
(イ)介護職員基礎研修課程若しくは訪問介護員養成研修2級課程又はこれに相当する研修(社会福祉施設長資格認定講習会等)を修了したこと
(ウ)上記Ⅰに掲げる資格を取得したこと
(エ)上記Ⅱのア又はイに掲げる相談援助業務従事者として1年以上勤務したこと
Ⅲ.上記Ⅱ ウの(ア)~(エ)までの要件のうち、いずれかを満たす者であって、下記に掲げる介護等の業務に従事する者
以下の①~④の要件のいずれかを満たし、下記の表の職としての実務経験が5年以上の者または①~④の要件を満たさずに、実務経験が10年以上の者。
①社会福祉主事任用資格を有する者
②介護職員基礎研修課程を修了した者若しくは訪問介護員養成研修2級課程に相当する研修を修了した者
③Ⅰの対象国家資格等を取得した者
④Ⅱの相談援助業務従事者として1年以上勤務した者
Ⅳ.上記【Ⅰ】~【Ⅲ】の要件に該当しない無資格者であっても、介護等の業務※に従事する者で、10年以上(かつ、1,800日以上)の実務経験を有する者。
※ 老人福祉施設、身体障害者施設、デイサービス事業 …など |
なお、受験資格に該当する〝実務経験〟に関しては、いくつか注意点があるので、補足説明しておきます。
常勤・非常勤・パートであるかは問いません。また、仮に勤務時間が1日2~3時間程でも、1日勤務したものとみまします。
複数の施設や事業所に勤務していた場合、該当する経験期間はすべて合算(試験の前日までの期間)することができます。
育児休暇をはじめとする休職期間や特別休暇・年次有給休暇等は実務経験期間に含めず、実際に働いた勤務日数で算定しなければなりません。 |
また、介護支援専門員の資質向上を目的とした制度改正案も出されており、近々、受験資格の見直しも行なわれる予定です。
具体的には、現在の「保健・医療・福祉に係る法定資格保有者、相談援助業務従事者及び介護等の業務従事者であって定められた実務経験期間を満たした者」から「上記の法定資格保有者に限定する」といったものです。
したがって、この見直し案が実施された場合には、これまで以上に受験資格条件が厳しくなる!ということを理解しておいてください。
介護支援専門員実務研修受講試験に向けた勉強法としては、下記に示す3つの学習スタイルが考えられます。
基本、実務経験が受験資格となる介護支援専門員試験の場合、仕事を続けながら勉強との両立が、比較的、行いやすい通信講座が人気のようですが、あなた自身に合った無理なく取り組める学習法を選択することが大切です。
学習
スタイル |
メリット |
デメリット |
独学 |
・費用が安い(講座料等の料金が発生しない)
・通学講座のように授業時間が指定されていないため、自分のペースで学習ができる…等 |
・試験の最新情報の入手が困難
・疑問点について質問する相手(講師など)がいない
・意志が弱く自己管理ができないと 挫折してしまう人も多い…等 |
通信講座 |
・自分のペースで学習が進められる
・試験対策に最適な教材やカリキュラムを受けることができる
・試験の最新情報が入手できる
・試験に関する疑問点は、講師陣に質問ができる…等 |
・通学講座に比べ費用は安いが、講座料金が発生する
・サポート体制はあるものの、通学講座に比べると弱い(試験に関する疑問はメールやFAXなどが一般的)
・意志が弱く自己管理ができないと挫折してしまう人も多い…等 |
通学講座 |
・カリキュラムに沿った計画的な指導が受けられる
・試験の最新情報が入手できる
・試験に関する疑問点は、その場で直ちに講師陣に質問ができる
・同じ志をもった受験仲間ができやすい(孤独にならない)…等 |
・ケアマネージャー講座費用が発生するため、費用は最も高い
・受講時間が指定されているため、比較的、自由なペースでの学習は難しい
・通学しなければならず、受講施設が遠方にあると不便…等 |
なお、介護支援専門員試験対策として、通信講座を利用する受験者は多いのですが、残念ながら悪質な資格商法などによるトラブルも発生しているようです。
そこで、通信・通学講座問わず、講座選びの際には、まず実施している複数の業者に資料請求(← 大半は無料で入手できるはず…)を行い、その資料も参考にしながら、各業者の特徴や教材、講師陣、合格率、費用等の比較検討することをお勧めします。 |
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介護支援専門員基本テキスト
要注意!更新制度が導入された介護支援専門員
介護保険法の一部改正に伴い、平成18年4月より、介護支援専門員(ケアマネジャー)にも更新制度が導入されました。
この新制度の導入によって、ケアマネジャーとして働くためには、従来の『介護支援専門員登録証明書』に代わる『介護支援専門員証』の交付を受けなければなりません。
また、この『介護支援専門員証』には有効期限があるので、5年毎に指定の講習を受講した後、更新手続きをする必要があります。
したがって、この講習を受講しないと資格停止(喪失ではない)となり、実務を行うことが出来なくなりますが、停止後であっても研修を受講すれば再度、資格は更新されます。
気になる!試験制度情報
平成25年1月7日に開催された、介護支援専門員の資質向上と今後のあり方に関する検討会における議論において、次のような点も検討すべきだという意見があります。
介護支援専門員実務研修受講試験については、保健・医療・福祉に関する知識や技術を有することの確認について、より介護支援専門員の資質の向上に資するものにしていくべきとの意見や、保有資格によって認められている解答免除の取扱いについて見直すべきであるとの議論が行われた。 |
本文で介護支援専門員の受験資格要件が、より厳しくなる方向で動いていると話しましたが、どうやら受験資格だけでなく、解答免除の取り扱いといったも見直し案も検討されているようなので、資格取得を考えている方は、今後の動向に注目して下さい。
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